五箇山の行徳寺(南砺市西赤尾町)から井波別院瑞泉寺(同市井波)に至る山岳古道「道宗道(どうしゅうみち)」を舞台に、10月19日(土)・20日(日)、「五箇山・道宗道トレイルランニングツアー」が開催される。世界遺産・菅沼合掌造り集落や砺波平野の散居村を眺めながら、全長約30km、標高約1,000ｍの高清水山系の自然の中を駆け抜けよう。

●五箇山・道宗道トレイルランニングツアー、参加者募集

　トレイルランニングとは、マラソンとトレッキングの要素を組み合せた山野を走るスポーツ。未舗装の道ならではの土や落ち葉の感触、山の高低差などを感じながら自然の中を駆け抜けられるとあって、近年人気を集めている。

　「五箇山・道宗道トレイルランニングツアー」は、来年10月の南砺市合併10周年記念「五箇山・道宗道トレイルランレース」(仮称)のプレイベントとして開催されるもので、今年5月にランナーを招いてテストランを行うなど準備が進められてきた。

　「道宗道」とは、室町から戦国時代、浄土真宗の本願寺第八代宗主蓮如上人の教えを受け、五箇山で行徳寺を開いた赤尾道宗(1462～1516)が、学びのために五箇山から瑞泉寺まで長年通ったとされる伝説の道。高落場山や高清水山、赤祖父山、八乙女山などの尾根筋を抜けて、井波・瑞泉寺へ下りる。

　市内の山岳会員らからなる「道宗道の会」がこの古道を研究し、5年ほど前から、雑木に覆われて途切れていた道を切り開き、約60カ所に道標を立てるなどして整備してきた。ツアーでは、行徳寺からスタートし、世界遺産・菅沼合掌造り集落そばから登山道に入り、高落場山や高清水山などの尾根筋を走り、木彫りの里・井波へ下りる。南砺市の背骨とも言える古道沿いには、南砺市の地理的中心にあたる「南砺市のへそ」の表示板がある。高落場山(1,122ｍ)のブナの原生林も美しく、樹木が放つ清浄な大気に満ちている。紅葉、黄葉も楽しめそうだ。

●浪漫あふれる古道トレイル体験

　1日目の19日(土)には、菅沼合掌造り集落を中心にした約60分の「五箇山の里トレッキング」、道宗道とトレイルランニングについての講義「トレイルランレクチャー」、ゲストランナーとの交流会を兼ねた夕食会「参加者交流会」が予定されている。2日目の20日(日)は、グループに分かれ、ゲストランナーや講師からレクチャーを受けながら道宗道を実際に走る。来年10月の本大会はタイムレースだが、今年はタイムを競わないツアーとなる。

　19日(土)・20日(日)の1泊2日(五箇山の里トレッキング、トレイルランレクチャー、参加交流会、トレイルランニングツアー)の参加者20名(参加費13,500円)、20日(日)のトレイルランニングのみの参加者30名(参加費6,000円)を募集している。対象は、18歳以上のトレイルランニング愛好者(ビギナーも参加可能)。申し込み締め切りは10月10日(木)だが、定員になり次第終了。エントリーは、実行委員会が委託するアウトドアスポーツ企画運営会社「フィールズ」のホームページ(http://www.fields-co.jp)にて。宿泊場所は五箇山合掌の里の「合掌造りコテージ」。個室ではなく、相部屋での宿泊となる。

　五箇山・道宗道トレイルランニングツアー実行委員会では、「紅葉の山々やブナの原生林、散居村、合掌造り集落、戦国時代の山城跡など、南砺の自然や歴史浪漫に触れながら、山野を駆け抜けてみませんか。今年はタイムを競わず、参加者が自分のペースで走ったり、歩いたりできます。ぜひ参加ください」と話している。

　また、ツアーとともに五箇山の観光も楽しんでみてはいかが。道宗を開基とする行徳寺は、茅葺きの山門が印象的。蓮如上人から拝受したとされる蓮如筆御文集、道宗覚書二十一箇条などを収蔵する。隣接する道宗遺徳館を訪ね、蓮如、道宗にまつわる宝物などを鑑賞してみたい。行徳寺の並びに建つ、岩瀬家(国指定重要文化財)は現存する五箇山最大の合掌造り家屋。約300年前に8年もの歳月を費やして建てられた。一尺角の欅の大黒柱、家長の間、書院の間、武者隠しの間、大きな塩硝釜など見どころも多い。

　世界遺産・菅沼合掌造り集落は、庄川のわずかな河岸段丘に9棟の合掌造り家屋が点在する小さな集落。塩硝の館や五箇山民俗館などもあり、五箇山の暮らし、文化に触れられる。深まる秋を感じながら、古道トレイルや合掌造り集落の探訪へ。心身ともに充実感に満たされること間違いなしだ。