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2019年 8月 21日 [ イベント ]

No.921:情調豊かな民謡踊りに木彫刻の手技、ソウルフルな演奏と歌に酔いしれて

哀調を帯びた胡弓の音色、編み笠に浴衣姿の女性の踊り手、山からのせせらぎと涼風…。越中八尾おわら風の盆の季節がやってきた。8月の前夜祭を経て、9月の本番を迎える。南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ2019、スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドの話題も併せて紹介。お盆が過ぎ、秋の気配を感じる晩夏。熱く盛り上がれる富山のイベントを満喫してみてはいかが。

●哀調の音色に誘われて、越中八尾おわら風の盆へ


▲おわら踊りに初秋を感じて(左)
▲南砺市いなみ国際木彫刻
キャンプ2019(中央)
▲スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドに出演する
「アカ・セカ・トリオ」(アルゼンチン)(右)

 石畳の坂道を照らすぼんぼりに初秋の訪れを感じる夜。越中八尾おわら風の盆前夜祭が今年は2019年8月20日(火)から富山市八尾町で始まった。11町のうち毎晩(20:00~22:00、雨天中止)、1町内で輪踊りや町流しが繰り広げられる。9月の風の盆本番が待ち切れない、気分を高めたいというファンにはこたえられない祭だ。

 20日(火)に天満町でスタートし、21日(水)に東新町、22日(木)東町、23日(金)下新町、24日(土)西新町、25日(日)今町、26日(月)上新町、27日(火)福島、28日(水)諏訪町、29日(木)西町、30日(金)鏡町で実施。観光客も交えた輪踊りもあるので、ぜひ踊りの輪に入りたい。八尾曳山展示館ホールでは、おわら風の盆の紹介映像の上映や、おわらの踊り方解説、ステージでのおわら踊り観賞が楽しめる。町の踊りを見る前にホールでおわらについて予習するのもいいだろう。


▲ぼんぼりの下での男女の踊り(左)
▲踊り手の衣装にも注目(右)

 9月1日(日)~3日(火)、越中八尾おわら風の盆。おわらを行う区域は南北に約3kmあり、町々で各支部が町流しや輪踊りを行う。「八尾よいとこ おわらの本場 二百十日を オワラ 出て踊る 唄われよう~ わしゃはやす」ーー胡弓と三味線が奏でる哀調の旋律と唄。情緒漂う白壁の土蔵や格子戸の町家を背後に踊る様子はまさに絵になる風景だ。種まきや稲刈りといった農作業の動きを手や指先を巻くように表現した豊年踊り、直線的な力強さとしなやかな動きで農作業の所作を表現した男踊り、夏の河原で女性がホタル取りに興じる姿を表現した女踊りの3種類がある。男性の踊り手は股引に法被姿、女性の踊り手は浴衣姿。衣装の色や模様は各町で異なるため、特徴を比べてみるのもおわらの楽しみ方の一つだ。

●世界の木彫文化に親しもう


▲キャンプ2015の作品「香る壷」
(マーカス・ロデリック・タットン作)(左)
▲「偉大な母親」(ロベルト・メロット作)(右)

 8月18日(日)、「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ2019」が南砺市井波芸術の森公園で開幕した<~8月30日(金)まで>。“木彫りを通して世界をつなぐ”をテーマに、世界各国から招かれた彫刻家が原木から作品を完成させるまで野外で公開制作を行う木彫刻の祭典。作品の出来を競い合うための「コンクール方式」ではなく、世界のさまざまな地域の作家と地元作家がお互いの民族や伝統、文化に触れあうことを目的とする「キャンプ方式」となっている。

 1991年から4年に1度開催され、今回で8回目。日本を含む世界9カ国の彫刻家が集う。No.860でも紹介した「宮大工の鑿一丁から生まれた木彫刻美術館・井波」として文化庁から日本遺産に認定された木彫刻の技と美を体感できる絶好の機会となるだろう

 公開制作は8月28日(水)まで。楠の丸太を素材にチェーンソーや槌、ノミなどを巧みに使って、作品を仕上げていく。小気味のいい槌音、木の香りを体感しながら、制作の様子を間近で見学してみよう。キャンプ完成作品の屋外展示<8月31日(土)~9月15日(日)、井波芸術の森公園>、屋内展示<9月18日(水)~26日(木)、井波総合文化センター>も楽しみだ。

 片岡鶴太郎トークショー&井波彫刻共同作品披露<8月24日(土)、井波総合文化センター>、体験教室(木彫り体験教室など)<8月24日(土)~25日(日)、いなみ木彫りの里創遊館など>、日本遺産井波踊り屋台披露<8月25日(日)、いなみ木彫りの里周辺>、世界の食文化交流(世界の郷土料理紹介)<8月25日(日)、いなみ木彫りの里周辺>など、多彩なイベントも開かれる。

●魂を揺さぶる熱い演奏と歌のハーモニーを

 異文化交流とワールドミュージックの祭典「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」が8月23日(金)~25日(日)、南砺市福野文化創造センターをメイン会場に開催される。

 注目のアーティストは、現代アルゼンチン音楽界を牽引し、南米音楽の新時代を担うスーパーグループ「アカ・セカ・トリオ」(アルゼンチン)。アルゼンチン伝統音楽をベースに、ジャズやクラシック、ロック、ブラジル音楽などをミックスさせ、洗練したコンテンポラリー・フォルクローレを追求する同グループの洒脱で壮大なスケール感をもつアンサンブルに誰もが魅了されるに違いない。

 初出演の「アンサンブル・セレーネ」はアルゼンチン、韓国、日本の音楽家らによる特別ユニットで、福野で共同生活しながら制作したパフォーマンスを披露する。

 待望の初来日となるのが、エチオピア系イスラエル人の歌手、ギリ・ヤロ。エチオピアの言語であるアムハラ語や英語の歌詞、エチオピア伝統音楽の音階を駆使したメロディーが紡ぎ出す世界を発信する。

 「じょうはな四葉会」は五箇山民謡を広く伝えようと、踊り手、地方合わせて約20人が年間を通して活動し、県外公演やアジア公演も行っている。こきりこ節、麦屋節など、哀愁を帯びた演目を披露する。


▲スキヤキ・スティール・オーケストラ(左)
▲昨年のスキヤキ・パレードの様子(右)

 スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールドから誕生した「スキヤキ・スティール・オーケストラ」はスティールパンの演奏を披露。ドラム缶でできているとは思えないほどの甘く澄んだ、軽やかな音色を聞かせてくれる。

 8月24日(土)16:00~17:00には、モザンビークのアーティストとのコラボから誕生したスキヤキ巨大人形隊や、マラカトゥ愛好家グループの連合体「全日本エデー連盟」、福野小学校管楽器クラブ、福野中学校吹奏楽部、南砺福野高校吹奏楽部、安居太神楽太鼓など、総勢500人が演奏しながら練り歩く「スキヤキ・パレード」が行われる。高さ4mほどの巨大人形や、太鼓の音色は圧巻。スキヤキの世界へと導いてくれるだろう。


問合せ

「越中八尾おわら風の盆」について
●おわら風の盆行事運営委員会
越中八尾観光協会
TEL.076-454-5138
富山市八尾山田商工会
TEL.076-455-3181
富山市観光政策課
TEL.076-443-2072
http://www.yatsuo.net/kazenobon

「南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ2019」について
●南砺市いなみ国際木彫刻キャンプ実行委員会事務局
TEL.0763-23-2013
FAX.0763-82-8302
http://inami-camp.city.nanto.toyama.jp

「スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド」について
●スキヤキ・ミーツ・ザ・ワールド実行委員会(南砺市福野文化創造センター・ヘリオス内)
TEL.0763-22-1125
FAX.0763-22-1127
http://www.sukiyakifes.jp/

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