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2021年 10月 13日 [ イベント ]

No.1018:秋は「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」

富山県美術館で「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展(とうしょうだいじみえいどうしょうへきがてん)」が開幕。日本の自然と鑑真和上の故郷である中国の風景を描いた5室の障壁画、全68面を紹介する。ポストカードのプレゼント、夜間開館、飲食店での期間限定メニューの販売なども実施中。芸術の秋、障壁画を鑑賞するひとときを。

●深遠な精神世界が広がる


▲「濤声」


▲「山雲」


▲手前右は「桂林月宵」

障壁画は、戦後日本画壇の巨匠、東山魁夷(ひがしやまかいい:1908~99年)が、奈良時代に同寺を開き、日本仏教の発展に尽くした中国の高僧、鑑真和上への思いを込め、10年もの歳月をかけて制作した。画業の集大成として手掛けた御影堂の障壁画を完成させたときには72歳になっていた。

本展では、障壁画をはじめ、スケッチや下図も展示し、魁夷が鑑真和上に捧げた記念碑的大作の全貌に迫る。通常非公開となっている障壁画を北陸で初めて公開。本展では、部分的に御影堂を再現して障壁画を展示しているのも話題だ。御影堂にいるかのような静寂の空間が広がる。

魁夷は1970年、唐招提寺(奈良市)から「鑑真和上坐像」(国宝)を安置する御影堂のふすま絵や厨子内部の扉絵の制作を依頼され、熟考の末、制作を決意し、全長80mを超える作品に着手した。日本への航海を乗り越えた末に盲目となった鑑真和上に日本の美しい風景を捧げようと、富山県など全国にスケッチに出かけ、山と海を描いた。

障壁画は5室、全68面で構成されている。魁夷は、「宸殿(しんでん)の間」と「上段の間」には日本の自然を象徴する山と海を画題に選んだ。宸殿の間の「濤声(とうせい)」は、幅約20mの16面に、初夏の海を描いた。波が静かに打ち寄せる情景から、波が岩にぶつかる大迫力のパノラマが続く。

上段の間の「山雲(さんうん)」は深い緑色を基調に、深遠な精神世界が広がる。雲煙漂う渓谷と谷間を流れる一筋の滝に心も癒やされる。

「松の間」と「桜の間」、「梅の間」の3室には、鑑真の故郷の風景が描かれている。坐像が置かれる「松の間」には生まれ故郷の景色である「揚州薫風(ようしゅうくんぷう)」、その両隣の部屋には中国の名勝を題材にした「桂林月宵(けいりんげっしょう)」と「黄山暁雲(こうざんぎょううん)」。いずれも水墨画で表現されており、「青の世界」を追求してきた魁夷にとって、挑戦でもあった。

●秋の夜長に夜間鑑賞プランも


▲唐招提寺の写真などを展示

「東山魁夷 唐招提寺御影堂障壁画展」会期中、美術館を楽しめるキャンペーンを実施中。平日の朝得プランとして、平日の観覧者先着50名にポストカードをプレゼント。一方、秋の夜長を優雅に楽しむ夜間鑑賞プランとして、11月5日(金)・6日(土)・7日(日)各日20:00まで、夜間開館を実施する。

会期中、「東山魁夷展」の半券提示で、美術館3Fのレストラン「BiBiBi&JURULi」、1Fのカフェ「Swallow Cafe」、1Fのミュージアムショップで5%引に。「BiBiBi&JURULi」では展覧会に合わせて開発したオリジナル商品を販売中なので味わってほしい。

美術館受付で企画展観覧券を購入された方には、館内施設で使える割引券や、素敵なプレゼントが当たるスクラッチカードを進呈。特典いっぱいの「東山魁夷展」をゆったり楽しんでみてはいかがだろう。

富山県美術館では、「10月14日からスケッチ・下絵を展示替えし、後期が始まります。前期をご覧になられた方もぜひご来館ください」と話している。

問合せ
●富山県美術館
TEL.076-431-2711
FAX.076-431-2712
https://tad-toyama.jp/

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