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2023年 1月 25日 [ イベント ]
No.1073:企画展開催&新館長決定!話題が尽きない「高志の国文学館」開館10周年。
●作家の寂しさ優しさ、愛を求めるまなざし感じる企画展
「高志の国文学館」は現在、開館10周年を記念する最新の企画展として、2月末まで「没後50年 川端康成展―愛を乞う魂」を開催している。この企画展は、「伊豆の踊子」「雪国」などの代表作で知られる日本初のノーベル文学賞作家・川端康成氏の作品、そしてその背景にある生涯を辿る中で、「川端文学」により深く没入できる内容となっている。担当者に話を聞くと、この企画展は昨年10月に神奈川近代文学館においてフランス文学者で小説家の荻野アンナ氏を編集委員として催された企画展をもとにしており、富山での展示に関しては「多くの貴重な資料を介し、孤独に生きた川端氏が求め続けた“愛”の世界を垣間見る構成となっています」とのことだ。
●足を踏み入れ、通いたくなる仕掛けがたくさん
会場には川端氏自筆の「雪国抄」冒頭部分や原稿、恋人や友人からの書簡、旧蔵品の茶碗や使用された筆記具、ノーベル文学賞賞状や記念メダルなどを展示。2022年春に新たに発見された盟友・横光利一からの書簡や「篝(かがり)火」草稿、「雪国」創作メモなど計4点については、全国で3番目の公開になるとのことだ。また、編集委員・荻野アンナ氏による解説文も随所に掲げられ、事実と作家目線を照らし合わせることで、観覧者自身の価値観にも自然と向き合える仕掛けが施されている。さらに、映画化された作品にまつわる品々や解説も多く展示されており、世代ごとにタイムスリップした感覚も楽しめる。
また、受付と企画展示室の間の回廊には「富山いずみ高校」の書道部員14人が実演した縦2メートル横10メートルの巨大な「雪国」の一節が展示されている。無料エリアで誰でも見ることができ、引き込まれるような迫力とメッセージ性が見ものだ。そして文学館では今後も様々な関連イベント(学生による読書と対談、映画上映、展示解説と読書会など)を用意しているとのことで、担当者は「川端氏の作品やその根源にある“魂”を、会場や企画全体そのものから感じていただけたら」と話す。
●11周年を前に新展開。新館長が吹かせる新たな風にも注目を
昨年12月には、2012年の開館以来館長を務める日本の国文学の第一人者で元号「令和」の考案者とされる中西進氏に代わり、2023年4月から県出身の俳優で作家の室井滋氏が新館長に就任することが発表された。室井氏は就任発表会見で、「(文学館を)学びの場としてはもちろん、憩いの場、発信の場となるように」とのさらなる発展への思いを述べ、『若草物語』で知られる作家ルイザ・メイ・オルコットの言葉「雲の向こうはいつも青空」を引用し、「文学館がコロナ禍におけるみなさんの青空となるため、頑張っていきたい」との決意も語った。新田知事も同会見で、小中高生をはじめとした若年層など、利用者層の拡大に期待を寄せた。10周年記念イヤーのラストスパート、そして次の10年の展開にも期待したい。
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●高志の国文学館
TEL. 076-431-5492
FAX. 076-431-5490
https://www.koshibun.jp/