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2021年 3月 24日 [ イベント ]

No.992:「アーティスト@TAD」 写真家・浅田政志氏の「私の2020年」

富山県美術館に国内外で活躍するアーティストを招き、滞在制作やワークショップ、作品展示を行う「アーティスト@TAD」。2020年度の同企画は写真家・浅田政志氏が担当。3月20日、展示企画「私の2020年」が開幕した<5月9日(日)まで>。

●滞在制作、ワークショップで富山と交流


▲浅田政志「私の2020年」開幕(左)
▲TADギャラリーにて(右)

 「アーティスト@ TAD」は、アーティストが富山県美術館(TAD)を拠点に滞在制作し、その手法や考え方をワークショップを通してTADに集う人々と共有し、その活動などから生まれた成果を1階のTADギャラリーで展示する企画だ。

 写真家・浅田政志氏は、1979 年三重県津市生まれ。消防士やバンドマン、電気工事士などのさまざまなシチュエーションに自分自身を含む家族がなりきり、被写体として撮影した写真集『浅田家』(2008 年赤々舎刊)で第 34 回木村伊兵衛写真賞を受賞。国内外での個展やアートプロジェクトにて精力的に作品を発表している。TAD には、2018 年の企画展「三沢厚彦 ANIMALS IN TOYAMA」の「アニマルハウス」のアーティストの一人として参加した。

 写真集『浅田家』、および東日本大震災で被災された地域において自発的に発生した写真洗浄と返却の現場を巡った記録『アルバムのチカラ』(2015 年赤々舎刊)を原案とした映画『浅田家!』が 2020 年秋に公開されたことも記憶にあたらしい。なお、同映画は第44回日本アカデミー賞の優秀作品賞などを受賞した。

●浅田ファン必見!セットアップ写真の魅力


▲ワークショップ参加者の作品が並ぶ


▲モニタで滞在制作の記録映像を上映


▲トークイベントで参加者の作品を紹介

 「たった 1 枚の写真で自分を表現する」ことを真摯に問う浅田氏。代表作の写真集『浅田家』で、セットアップ写真(演出写真)という手法で被写体を設定した家族写真から新しい写真の魅力を引き出し、多くの人々を魅了している。

 本展では、「私の2020年」をテーマに、セルフポートレートによる浅田氏の新作 1 点(初公開)、富山県の人々を撮影した滞在制作シリーズ 8 点、ワークショップ参加者の作品 10 点の合計 19 点を紹介している。

 滞在制作シリーズでは、事前に県内在住で写真撮影希望者を募集。浅田氏が被写体の方々と対話し、コミュニケーションを交わした成果を踏まえて撮影された作品を被写体の方のメッセージとともに展示している。作品『夜明けの先に』は紅葉シーズンに富岩運河環水公園で撮影された一枚。『喫茶チェリオ・稲垣家の2020年』は富山市総曲輪で1935年に祖父が開業し、2020年に85周年を迎えた老舗喫茶店の家族を店内で撮影した写真だ。

 ワークショップ・参加者の作品≪私の2020年≫では、講師の浅田氏の指導を受けながら完成させたセルフポートレートによる10人の写真作品とコメントを展示。作品『池ちゃんの2020年』は昼寝する作者やペットの亀、趣味に関する品々を撮影した。ペットの亀目線のコメントがユニーク。『家族は応援団』は、「親は子どもの最大の味方」と、息子を思う気持ちがにじみ出ている作品だ。

 なお、展覧会開幕を彩る特別企画として、浅田氏によるトークイベントが3月20日に開催された。冒頭では、写真の道に進み、写真集『浅田家』を制作することになったきっかけや思い出の一枚を紹介。滞在制作シリーズや、ワークショップ参加者の作品の解説も行った。浅田氏は「コロナ禍で思うように写真展や撮影をすることができなかった1年でした。アーティスト@ TADの機会を得て、富山で生きる人々とともに2020年を写真と文章にして可視化してみたいと思いました。写真を通していろんな人に会い、撮影の喜び、尊さを感じられることにあらためて気づかされました」と話した。

 富山県美術館では、「大きな社会的変化があった 2020 年。浅田氏の世界を通して、写真に写った人、写す人、みる人の『私の2020 年』を見つめる場になれば」と話している。

問合せ
●富山県美術館
TEL.076-431-2711
FAX.076-431-2712
https://tad-toyama.jp/

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