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2022年 8月 22日 [ イベント ]
No.1056:昭和のキャバレー王が愛した名画が集う「コレクター福富太郎の眼」展、ラストスパート!
●一流コレクターが収集した、名画たちが集うレアな展覧会!
福富氏は、東京オリンピック(1964)を背景に、44店舗ものキャバレーを全国展開した実業家であり、有名無名を問わない「コレクション」に生涯を捧げた美術品コレクター。会場に展示される作品は、すべて彼自身の眼によって集められた作品だ。今企画は、コレクターとしての福富氏を「戦後最高」と敬愛し、生前の交流も深めた美術史家・山下裕二氏(明治学院大学教授)が監修を担っている。
●コレクター独自の視点が光る、ラインナップの秀逸さに感動
展示する美術品は、鏑木清方をはじめとする「美人画」だけでなく、「風俗画」「洋画」「戦争画」など多岐にわたる。後期となる現在は65作品が展示されているが、前期とは20作品ほどが入れ替わっているため、全期間トータルで80作品がお披露目された計算だ。
担当者によると、過去に水墨美術館で福富コレクションを紹介した企画展は「近代日本画の美人画のみ」だったとのことで、多ジャンルにわたるコレクションの全貌を公開するのは、全国規模でも初めてだそう。そして、和風建築の美術館が会場となるのは富山が唯一で、福富氏の親族もこの落ち着いた雰囲気を歓迎しており、全国各地の福富コレクションファンらも、作品と会場の親和性を楽しもうと、わざわざ富山会場を訪れているのだとか。ちなみに、水墨美術館に「洋画」が展示されるのもレアケースで、 従来の水墨美術館ファンにとっても嬉しい企画となっているようだ。
また担当者は、この企画展の最大の見どころが「他にはない視点」と語る。通常の企画展では作家の代表作やよく知られる名作たちが集うことが多いが、今回の選抜基準は福富氏の純粋な眼とお気に入りに基づく評価で、先入観がないという。実際、担当者自身も「あまり知られていない作家の作品に、こんないいものがあったのか…」と驚かされることが多々あったそうだ。「ホンモノを見る眼」を独学で育てた福富氏、その人生に思いを馳せれば、観る者一人一人が、自身の価値観に出会えるきっかけを得られそうだ。
●富山は間もなくファイナル、巡回会場もあと1か所の貴重な機会を逃がすなかれ
なお、8月6日に催された山下教授(監修者)の講演会は満員御礼で、応募倍率も5倍を超えたそう。そして今、担当者が「こちらも早い者勝ちです」と力をこめるのは、企画展の「図録」だ。この制作に際してのこだわりは、山下教授が意識した、作品の解説やコメントひとつひとつを、福富氏自らがメディアへの出演や文筆などを通して発した言葉を使って綴ること。美術品それぞれへの思い入れが深い“持ち主”本人の言葉が、刺さらないわけがない。
ただ残念ながら、富山での展示は最終日まであとわずかで、担当者は「ドラマ性に溢れた展示空間を、ぜひ見に来てください」とPRに余念がない。前期に訪れた人は半券持参で割引、金曜の16時以降限定で、「福」にちなんだハッピーフライデー割引を実施するなど、ユーモラスな側面も併せ持った企画なので、気軽に足を運んでみてはいかがだろうか。
- 【問合わせ先】
- 富山県水墨美術館
TEL:076-431-3719
FAX:076-431-3720
https://www.pref.toyama.jp/1738/