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2007年 11月 21日 [ イベント ]

No.327-2:世界演劇の聖地・利賀で幕を開けた日中韓共同企画「BeSeTo演劇祭」、東京・新国立劇場公演迫る!


 12月21日(金)~24日(月)、東京・新国立劇場で、世界的な演出家・鈴木忠志さん演出による日中韓俳優出演・3カ国語版「廃車長屋の異人さん」が上演される。9月1日(土)、世界演劇の聖地と呼ばれる利賀(富山県南砺市)で開幕し、約3カ月間、さまざまな催しを繰り広げてきたBeSeTo演劇祭のフィナーレを飾る公演だ。

▲12月に新国立劇場で上演される
「廃車長屋の異人さん」(鈴木忠志演出)

●鈴木忠志さん演出「廃車長屋の異人さん」でフィナーレ

 1994年に日本・中国・韓国の3カ国による文化交流共同事業として立ち上げられたBeSeTo演劇祭。14回目にあたる今年は、9月1日(土)、世界演劇の聖地・利賀(富山県南砺市)で開幕し、「女中たち」(韓国:パク・ジョンヒ演出)、「春柳社をさがして」(中国:任鳴・叢林演出)、「熊野」(日本:石井幸一演出)、「雨月物語・蛇性の婬」(日本:岡田圓演出)の4作品が上演されて好評を博した。10月からは、日本の若手演出家たちの11作品が東京、静岡、京都などで上演されており、各地で話題を呼んでいる。

 そして、12月21日(金)~24日(月・休)、BeSeTo演劇祭は、東京・新国立劇場での鈴木忠志さん演出による日中韓俳優出演・3カ国語版「廃車長屋の異人さん」でフィナーレを迎える。

 作品は、帝政ロシア末期の貧民窟を描いた世界的名作、ゴーリキーの『どん底』と、戦後の日本人の心を支えた演歌の女王・美空ひばりの歌謡曲を重ね合わせるというユニークな演出だ。打ち捨てられた廃車の群れ、そこに棲む人々−−荒廃した近未来社会に生きる人間の姿を絶望と哀切とたくましさの中に描くもので、2006年に県利賀芸術公園で開催された「利賀フェスティバル2006」では、利賀の大自然に囲まれた特設舞台で上演され、強烈な印象を残した。今回は3カ国俳優が出演する合同公演の日本初演となる。昨年の公演を鑑賞された方も、そうでない方も、折り重なる廃車群が圧倒的な重量感で迫り来る舞台と、日中韓俳優の競演を堪能できるだろう。

 チケット料金(全席指定)はS席5,000円、A席3,000円で、12月22日(土)、23日(日・祝)、24日(月・休)の公演分を前売り中。開演は15:30で、上演時間は1時間20分。日本語字幕付きとなっている。チケット取扱いは、(財)舞台芸術財団演劇人会議(TEL.03-3445-8010)、電子チケットぴあ(TEL.0570-02-9999/廃車長屋の異人さん Pコード381−093)。

●利賀を拠点に、SCOT再始動

 世界的な演出家・鈴木忠志さんが県利賀芸術公園を拠点に、主宰劇団「SCOT(スコット)」(Suzuki Company Of TOGA)を再始動させることも話題だ。

 鈴木さんは1966年に劇団「早稲田小劇場」を結成。76年に活動拠点を東京から利賀に移し、劇団名をSCOTに改めた。82年からは「世界は日本だけではない、日本は東京だけではない、この利賀村で世界に出会う。」を合言葉に、世界演劇祭「利賀フェスティバル」を利賀村で開催。その活動は世界の演劇人から注目を集め、鈴木さんが考案した俳優訓練法「スズキ・メソッド」は世界の演劇関係者に学ばれている。劇団SCOTは、95年に鈴木さんが静岡県の県舞台芸術センター芸術総監督に就任したことなどから99年に活動を休止していたが、今年3月に総監督を退任したことから県利賀芸術公園を拠点として来年から活動を再開することとしている。
  
 県利賀芸術公園は、豊かな自然に溶け込んだ野外劇場や合掌造りの劇場などの創造性にあふれた芸術空間を有し、ここを訪れた者しか味わうことのできない魅力に溢れており、国内はもとより、世界各地の演劇関係者から「演劇の聖地」と呼ばれている。昨年3月には全国で初めての芸術特区「舞台芸術特区TOGA」に認定され、国際的に活躍する俳優や演出家等の育成や、大学生、中高生のワークショップなども行われている。

 今夏も「利賀フェスティバル」には世界から多くの演劇人が訪れ、10月にはロシアの代表的な劇団であるタガンカ劇場と利賀で共同制作した演劇「エレクトラ」をモスクワで上演。そして今回、東京・新国立劇場で日中韓3カ国の合同企画公演を行うなど、世界各国で愛されている鈴木演劇。久々に演劇の聖地利賀で活動を再開する劇団SCOTの今後に期待が高まっている。


▲9月に利賀スタジオで上演された
「春柳社をさがして」(中国)


問い合わせ
BeSeTo演劇祭「廃車長屋の異人さん」について
●(財)舞台芸術財団演劇人会議
TEL.03-3445-8010
http://www.jpaf.or.jp/

「富山県利賀芸術公園」について
●富山県生活環境文化部 文化振興課
TEL.076-444-3455
FAX.076-444-4438
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/

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