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2006年 8月 30日 [ イベント ]
No.263-2:“心の癒し”の儀式として現代によみがえる「布橋灌頂会」
朱色の橋に敷かれた3本の白き布の上を、白装束に身を包み、目隠しをした女人衆が手を合わせてゆっくりと進む‥‥。江戸時代、女人救済のために行われていた伝統の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が、9月16日(土)~17日(日)、かつての立山信仰の拠点・立山町芦峅寺で“心の癒し”の儀式として現代によみがえる。
●白装束に身を包んだ女人衆が布橋を渡る
雅楽の荘厳な音色と聲明(しょうみょう)が緑の木立に響くなか、朱色の橋に敷かれた3本の白き布の上を、白装束に身を包み、目隠しをした女人衆が手を合わせてゆっくりと進む。橋を渡りきり、目隠しを解いたときに霊峰立山が眼前に映る・・・・・・。
全国各地の霊山と同様に、立山も女人禁制だった江戸時代。女人救済のために行われていた伝統の儀式「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」が、9月16日(土)~17日(日)、かつての立山信仰の拠点・立山町芦峅寺で“心の癒し”の儀式として現代によみがえる。参加するのは、全国から応募のあった20代から90代までの女性65名。16日(土)には参籠(宿坊での泊まりを模した宿泊)、17日(日)に布橋灌頂会が行われる。
かつての布橋灌頂会は、江戸時代に数少ない女人救済の儀式として全国に知られていた。布橋の下を流れる姥堂川を三途の川に見立て、布橋はこの世(此岸)とあの世(彼岸)の境界と考えられていた。長さは25間、高さ13間、敷板は108枚で煩悩の数。仏を信じない女人は、橋が糸よりも細くみえ、迷いの此岸から悟りの彼岸に渡れずに、大蛇の待つ谷底に落ちると説かれたという。橋を渡り終えると、姥堂に入り、暗闇のなかで現世での幸福と来世での安穏を一心に祈る。やがて、姥堂の戸が開け放たれ、正面にはまばゆいばかりの立山連峰。霊峰を拝み、女性たちは極楽浄土に至ることができた喜びに浸ったという。
生まれ変わりの儀式といえる布橋灌頂会は、明治初期の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく:神仏分離)によって廃れてしまったが、平成8年の国民文化祭で当時の模様が復元された。これをきっかけに、復活を望む声が多く寄せられ、昨年9月に“女性のための心の癒しの儀式”としてよみがえった経緯がある。
●女人衆に続いて、一般者も「橋渡り体験」を
9月17日(日)のスケジュールとして、9:00から立山博物館・姥堂基壇前広場で開会式が始まる。布橋灌頂会では、白装束の女人衆らによる儀式に続いて、一般者も「橋渡り体験」ができるので参加してみたい。体験の受け付けは9:00~。体験費は2,000円で、記念品として「通行手形」などがプレゼントされる。
10:15から閻魔堂で儀式が行われたあと、11:15~11:40まで引導衆、女人衆、来迎衆らの「橋渡り儀式」が行われる。そして11:40からは一般者の「橋渡り体験」。13:15~14:15には、姥堂基壇特設ステージで「曼荼羅音楽会」が開催されるので、是非鑑賞したい(鑑賞無料)。高岡市福岡町の雅楽グループ「洋遊会」による演奏や舞い、聲明の会「HARUKA」による聲明の響きが楽しめる。
布橋灌頂会実行委員会では、「21世紀は“こころの時代"といわれるが、その一方で多くの人々が日々の生活の中でストレスを抱えており、心の癒しを求めている。このような時代背景を受け、古来より山岳信仰の舞台であった立山を“癒しの場”として再発見し、活用しようと、布橋灌頂会に着目した。雅楽や聲明といった日本文化の粋ともいえる伝統文化にふれながら、現代女性が伝統儀式を追体験することで、これまでの人生を見つめ直し、今後に生かしてほしい」と話している。
問い合わせ
●布橋灌頂会実行委員会(立山町観光協会内)
TEL.076-463-1121
FAX.076-463-6611
http://kanko.town.tateyama.toyama.jp/pub/top.aspx