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1998年 6月 25日 [ イベント ]

No.021-2:10月開催「食祭とやま'98」富山の食文化を見て、味わう5日間


■開催テーマは“きときとの味、ありがとう”
 この秋、富山市において、食に関する総合イベント「食祭とやま'98」(第8回全国食文化交流プラザ富山)が開催される。これは、食文化に関心の深い人々が一堂に会して情報交換を行い、未来の食卓に向けて新たな提案を行うことを趣旨として開催されるもの。
 今回のテーマは、“きときとの味、ありがとう”。「きときと」とは、新鮮でいきいきとしている様子を表す富山の言葉。とびきり新鮮な食材を生み出してくれる豊かな自然と、伝統の味を育んできた先人の知恵に感謝を込めて、富山が誇る食文化を内外に伝えたいと、多彩な事業が展開される。会期は10月8日(木)から12日(月)までの5日間。富山空港近くの富山産業展示館(テクノホール)、富山市体育文化センター、富山能楽堂がメイン会場となる。

■1,000人前のジャンボます寿しを披露!
 キッチンスタジアムと名付けられたイベントステージでは、富山ます寿し協同組合が、直径2.4mの1,000人前のジャンボます寿しを披露。いろり端食談コーナーでは、おばあちゃんが伝える伝承料理の数々や、いろりを囲んで飲むバタバタ茶という珍しい風習(近隣の主婦たちが集まって、茶せんでバタバタと音を出して泡立てる独特のお茶を飲みながら世間話に花を咲かせる)も紹介される。
 また、富山の寿司職人たちがオリジナルメニューに腕をふるう寿司コーナー、屋外での大漁鍋コーナーなども設けられ、メイン3会場一帯は食の大競演となる。さらに、屋外イベントステージでは県内各地の郷土芸能が食の祭りのムードを盛り上げ、県内の特産品を一堂に集めて展示販売する恒例の「第15回特産王国とやまフェスティバル」も併催される。

■桜町遺跡の出土品も展示
 テーマ展示「食文化の交流史」では、縄文人の生活を昨年、コゴミ・トチの実・クリなどの食材が多数出土して話題になった小矢部市桜町遺跡の出土品を通じて紹介するのを始め、万葉の歌人、大伴家持が越中国司として赴任した時代の食事“万葉食”の再現や、富山藩主の正月膳の紹介などが企画されている。また、江戸時代の北前船交易により確立された“昆布ロード”(*)、氷見でとれたブリが塩加工され飛騨・信州へと運ばれた“ブリ街道”(*)など、富山の食文化の交流史を紹介することにしている。

■信仰・祭り・人生と食のかかわりを紹介
 テーマ展示「とやまの伝統の味」では、真宗王国といわれる富山で、信仰が食に与えた影響を、報恩講料理(親鸞聖人の遺徳をしのぶ法会で、信人たちが野菜などを持ち寄り、煮しめや小豆がゆなどを作って味わったもの)などを展示しながら紹介する。また、県内各地の祭りでふるまわれる、押せずし、まんじゅう、米菓、そばなどを紹介する“まつりと料理”、富山では人生の節目の儀式や行事につきものの餅について紹介する“人の一生と餅”などのコーナーが設けられる。

(*)昆布ロード:江戸時代、富山の売薬業者は北海道の昆布を北前船などで薩摩藩へと運んでいた。昆布はさらに、琉球を経て中国へも輸出され、逆に、中国からは薬の原料が輸入されて、当事製薬の中心地であった富山へと運ばれた。このルートを「昆布ルート」という。その名残りは今も日常生活における昆布の消費にみることができる。富山市の世帯別の昆布の消費額は全国第1位。また、北海道から遠く離れた沖縄の料理に昆布が多く用いられるのも、昆布ロードの名残りだ。

(*)ブリ街道:江戸時代、富山湾で捕れたブリは、塩ぶりにされて飛騨高山に「越中ぶり」として送られた。その一部はさらに、野麦峠を越えて信州の松本や上諏訪・伊那地方へと送られたが、信州ではこれを「飛騨ぶり」と呼び、正月のご馳走として珍重された。このルートを「ブリ街道」という。

●全国食文化交流プラザ富山県実行委員会(事務局:富山県農林水産部生産流通課内)
〒930-8501 富山市新総曲輪1-7
TEL 0764-44-3271
http://www.pref.toyama.jp/sections/1613/syokusai/

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