日本一深い黒部峡谷を走る観光トロッコ電車の運行が、今年も５月１日から再開される。黒部峡谷鉄道の始発駅、宇奈月温泉駅では、記念行事やイベントなどが盛大に繰り広げられ、観光客を雄大な黒部の大自然へ誘う。
　当日、宇奈月温泉駅前では、トロッコ電車の運行再開を祝って数々のイベントが行われる。富山の特産品である「細工かまぼこ」の実演・販売もその一つ。「細工かまぼこ」とは、食紅で色付けした魚のスリ身で鯛や松竹梅をかたどったカマボコのことで、地元では昔から結婚式など、おめでたい席には欠かせないもの。
　北アルプスに源を発する水から生まれた「地酒の試飲・販売」コーナーもおすすめ。澄みきった山の空気と、雄大な渓谷を眺めながら飲むお酒のおいしさは格別だ。また、売薬で有名な富山県らしいコーナーが「丸薬人参ラーメン」。富山の和漢薬の技術で、丸薬に加工した朝鮮人参が入った珍しいラーメンだ。昨年は１杯200円ということもあって、長蛇の列ができるほどの大人気だった。今年もサービス価格で提供する。
　出発式では、テープカットが行われ、始発電車の乗客にチューリップの切り花がプレゼントされた後、いよいよ運行開始。トロッコ電車に乗って、黒部川沿いの断崖絶壁の渓谷美を堪能しながら、終点の欅平（けやきだいら）まで約20kmの旅を楽しむことになる。
　鮮やかな新緑、谷間の残雪や黒部川に架かるスノーブリッジ、ヨーロッパの古城をイメージして建てられた新柳河発電所、入山者が、谷の緑の深さに思わず後づさったという由来の後曳（あとびき）鉄橋などを通り、トロッコ電車は進んでいく。また、黒部峡谷には、野趣あふれる露天風呂として知られる鐘釣温泉、草薙温泉、祖母谷（ばばだに）温泉など、温泉がいたるところで噴出しており、秘湯めぐりも楽しむことができる。
　宇奈月温泉にトロッコ電車が走りだすと、黒部峡谷をはじめ、雪深い北アルプスの峰々にもいよいよ輝く春がやってくる。

●宇奈月温泉観光協会
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