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1997年 5月 29日 [ イベント ]
No.003-3:昔の風情を残す街並で踊られる鋳物音頭「やがえふ」
富山県高岡市は、お寺の梵鐘など銅器製品の生産が全国シェアの90%以上を占める銅器の街。この高岡銅器の発祥地として昔の街並を残す金屋町界隈では、毎年6月19・20日に伝統行事「御印(ごいん)祭」が行われ、その中で職人の作業歌として生まれた鋳物音頭「やがえふ(弥栄節)」が歌い踊られる。
この祭は、慶長年間に高岡に鋳物技術を移入し、銅器産業の基礎を築いた加賀二代藩主・前田利長の遺得を偲び鋳物職人たちによって行われてきた。夕方、有磯正八幡宮の御神体を金屋町に迎えた後、御印太鼓を合図に地元住民ら約500人が黒のハッピに鉢巻き姿で、「やがえふ」をうたい踊りながら街流しをする。
「やがえふ」踊りは片手に息杖を握りしめ、「河内丹南鋳物(大阪府)の起こり ヤガエフ 今じゃ高岡金屋町 エーヤガエフ エンヤシャ ヤッシャイ」と“たたら”を踏む仕草をする。
“たたら”とは大型の足踏式ふいごのことで、鋳物作業で大量の地金をとかすために、熔解炉に風を送る時に使用する。この送風作業は通常12人で行うが、重労働で単調なうえ、徹夜で続けられるため、やがえふを歌いながら、疲労した心身を元気づけ、全員の踏む歩調を合わせたという。
やがえふの意味は、高岡の方言「ほんとやがい(ほんとなんだよ)」「行くのやがい(いってくるんだよ)」などに使われる「やがい」という言葉に、たたらで風を吹き込む時にでる「フー」という音が付いたものだという。また、歌の文句の切れ目に「ヤガエフ ヤガエフ」と囃子を入れることから、今日の名称になったとも言われている。
この高岡鋳物職人の心意気を示すやがえふの街流しは、今年も古い街並が残っている風流な金屋町で威勢よく繰り広げられる。
* 問い合わせ
●高岡市観光物産課
〒933 富山県高岡市広小路7-50
TEL 0766-20-1301