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2001年 8月 20日 [ イベント ]
No.077-1:想像力をかき立てる美の真髄 ---第8回現代芸術祭「瀧口修造の造形的実験」展
●造形の実験を密かに重ねた瀧口修造の新たな一面
富山県立近代美術館では、開館20周年記念として、第8回現代芸術祭「瀧口修造の造形的実験」展が9月24日(月)まで開催されている。
1903年に富山県で生まれた瀧口修造は、上京後の1920年代後半から詩作、シュルレアリスムの紹介、美術評論などを行い、戦後は詩や美術、映画など、幅広い分野の前衛的な仕事に立ち合いながら批評活動を行った。ジョアン・ミロやマルセル・デュシャンら海外の作家たちとも交流し、詩画集『ミロの星とともに』や『マルセル・デュシャン語録』を共同制作するなど、1979年に75歳で没するまで、瀧口は精力的に活動。日本の美術の動向に与えた影響は、はかり知れないものがあるといえるだろう。
「瀧口修造の造形的実験」展では、1960年前後に評論活動を中断し、デッサンや水彩画、デカルコマニー(転写技法)など、さまざまな表現手段を用いて“造形的実験”を行った瀧口の知られざる“作り手”としての実像が紹介されている。
●偶然の美に溢れたデカルコマニーの作品
「瀧口修造の造形的実験」展を訪問してみよう。1.エクリチュールのイニシエーション/2.デッサン、水彩/3.飛沫ノ遊ビ/4.バーント・ドローイング/5.ロトデッサン/6.デカルコマニー/7.手作り本、オブジェ --- 会場では、技法別に7つのセクションに分けて作品が展示されている。
作品のなかでも、つや紙の上に絵の具を垂らし、乾かないうちに別の紙を載せて転写するデカルコマニーの技法で制作された100点の組作品『私の心臓は時を刻む』は、化学の実験室で生まれたかのような神秘的な影像が鑑賞者の目を強烈に魅きつける。火と煙を造形手段に用いたバーント・ドローイング(焼き焦がし)の作品を眺めると、「火で焦がす、ローソクの煙で燻らす、火と水の交互作用の試み」という瀧口の言葉が胸に染みるだろう。
会期中のイベントとして、「シュルレアリスムの終り‐瀧口さんは孤高の星であったか?」と題して、詩人・作家の辻井喬氏の芸術講演会が9月8日(土)、美術館ホールで行われる。また、9月15日(祝)には瀧口に関連するビデオ番組が上映される。作品鑑賞とともに楽しみたいイベントといえる。
問い合わせ
●富山県立近代美術館
電話(076)421-7111