- HOME : Toyama Just Now
- トピックス
- No.899:独創性あふれた技術 冴える! 第6回富山県ものづくり大賞決定
2019年 3月 20日 [ トピックス ]
No.899:独創性あふれた技術 冴える! 第6回富山県ものづくり大賞決定
●市場性や成長性に期待
大賞には、株式会社池田模範堂<上市町>の「汗かぶれ治療薬 アセムヒEXの開発」、優秀賞に三光合成株式会社<南砺市>の「金属3Dプリンターを用いた高生産性プラスチック射出成形金型の製造技術の開発」、株式会社富山村田製作所<富山市>の「HDD向け積層圧電アクチュエータの開発」、特別賞に株式会社ニッポンジーン マテリアル<富山市>の「長期室温保存を可能とする乾燥技術を用いた植物病遺伝子検査キットの開発」が選ばれた。
富山県ものづくり大賞は、県が平成22年度に創設。県内の産業や文化の発展を支えてきた「ものづくり」を着実に継承し、さらに発展させていくため、高度な技術開発により県内「ものづくり」の活性化に貢献した企業を顕彰している。県内に本社、主な事業所、研究開発拠点などを置き、製造業を営むものづくり企業を対象に、概ね3年以内に開発された技術や製品を審査する。審査基準は、①「新規性・独創性」(技術や製品の新規性、独創性)、②「信頼性」(完成度、技術水準、省エネルギー・環境に配慮した生産方法、品質管理)、③「市場性・成長性」(売上高、市場シェア、今後の成長性)、④「研究開発・知財戦略・人材育成」(技術や製品の高度化のための研究開発体制、知財戦略、人材育成への取組み)、⑤「その他」(他機関の表彰受賞、報道等で話題になったこと、地域貢献、特記事項など)。
第6回は、平成30年8月6日~9月28日の応募期間中に、15企業17件の応募(自薦または県内で活動する工業会や経済団体等からの推薦)があり、検討会(委員長:橋本和仁国立研究開発法人 物質・材料研究機構理事長)による第一次検討会(書類審査)で9件を選定。第二次検討会では、書類審査を通過した9件からプレゼンテーションを受け、各賞受賞候補を選定し、その結果を踏まえて、石井知事が受賞企業を決定した。
●かゆみ止め効果と汗の浸入防止効果の両立
(株)池田模範堂では、自分の汗にかぶれてしまう皮膚トラブルを「あせも」とは別の皮膚トラブル「汗かぶれ」と定義し、日本初処方<※プレドニゾロン吉草酸(きっそうさん)エステル酢酸エステルとタンニン酸の組合せ(2018年10月時点、池田模範堂調べ)>の一般用医薬品「アセムヒEX」を開発した。汗が肌の内部へ浸入することを防ぐ成分として、植物由来の「タンニン酸」に着目した点がオリジナルのアイデアとして優れており、“汗の浸入防止”“抗炎症”“かゆみ止め”の3つのアプローチで、くり返す汗かぶれの症状を断ち切り、高い治療効果を実現した。昨年4月の販売開始から数カ月で多くの国内新規市場を創出しており、今後さらなるシェア拡大が期待される。
●成形不良の少ない金型の量産化を実現
三光合成(株)では、金属3Dプリンターを用いた高生産性プラスチック射出成形金型の製造技術を開発した。従来の切削加工による金型では、①樹脂を冷やす水管を製品の近くに通すことができないため冷却に時間を要する、②ガス焼けによる成形不良が生じやすい、③複雑な形状の金型の場合、多くの部品が必要になるといった課題があった。これらの課題に対し、3Dプリンターを活用することで、金型の形状に合わせた水管を配置し、ガス透過性を持たせるため金型をポーラス(多孔質)形状とする金型製造技術を開発。冷却機能とガス透過性に優れた部品点数の少ない金型の製造を可能にした。これにより、成形不良の少ない金型の量産化を実現しており、今後の飛躍も期待される。
●同種の装置では世界トップシェア
(株)富山村田製作所では、HDD(ハードディスクドライブ)の大容量化に対応し、データ記録の高密度化、高速書込み・読取りを可能にする積層圧電アクチュエータ(駆動装置)を開発。データ書込みの際の磁気ヘッドの位置制御を高精度にコントロールできる、より小型のアクチュエータの量産化を実現した。自社のこれまでの技術を応用し、セラミックウェハから厚み50—100μmの超小型セラミックを量産できる加工技術を確立。HDDに求められるパーティクルレス(微細な粒子状の異物がない状態)を実現するための製造工程や生産環境を併せて整備し、量産化を実現している。同種の装置では世界トップシェアを誇り、今後の市場拡大に伴いさらなる需要の拡大が期待される。
●長期の室温保存・室温輸送が可能な植物病遺伝子検査キット
(株)ニッポンジーン マテリアルは、ココヤシなど1,000種以上の植物に感染し、農業に甚大な被害を及ぼすとされる細菌「ファイトプラズマ」の乾燥遺伝子検査キットを開発した。従来の液体キットは冷凍保存が必要だが、植物病被害に悩む新興国では、冷却材の入手が容易ではなく、インフラ環境も不安定なため、長期の室温保存・室温輸送が可能な植物病遺伝子検査キットが求められていた。東南アジアやオセアニア諸国に有償試作品を提供し活用されており、現時点での市場規模は小さいが、病原微生物の拡散が懸念されるなかで本製品の社会的な意義は大きい。今後の国際的な展開や、乾燥化技術の体外診断用医薬品(IVD)への応用などが期待される。
富山県商工企画課では、「受賞した技術・製品は、極めて高い水準にあり、今後、需要の拡大が期待されます。富山県のものづくり企業の優れた技術をぜひご活用ください」と話している。
- 問合せ
-
●富山県商工労働部 商工企画課
TEL.076-444-9606
FAX.076-444-4401
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1301/