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2018年 5月 30日 [ トピックス ]

No.858:“くすりの富山”に「創薬研究開発センター」誕生―バイオ医薬品等の付加価値の高い医薬品の研究・開発支援拠点!

 2018年5月24日、富山県は県薬事総合研究開発センター(射水市中太閤山)に「創薬研究開発センター」を開所した。富山の医薬品産業のさらなる振興を目的に、今後成長が見込まれるバイオ医薬品などの研究開発の支援、人材育成などを行う。6月12日(火)には、開所記念シンポジウムを富山国際会議場で開催。入場無料。

●医薬品生産金額全国第1位の富山県

 江戸時代からの配置薬業に始まり、300年以上の歴史がある「くすりの富山」。県内には、新薬開発型メーカー、ジェネリックメーカー、配置薬メーカーなど100を超える製造所が集積する。2015年の都道府県別の医薬品生産金額は過去最高額の7,325億円となり、初めて全国第1位になった。人口1人あたりでも全国第1位。また、医薬品生産金額は2005年からの10年間で約3倍に増加しているなど国内トップレベルの医薬品生産拠点を形成している。


▲創薬研究開発センター

 富山県の医薬品産業に対しては、高い技術力(特にパップ剤や軟膏剤、目薬などの特殊製剤)、高いGMP(医薬品の製造管理・品質管理の基準)へのコンプライアンス、関連産業(容器包装、印刷、製剤機器等)の充実など、国内外から高く評価されている。

 また、“世界の薬都”スイス・バーゼル地域とは2009年に石井知事が訪問し政府と協定を締結して以来、医薬品分野を中心に交流が進んでいるほか、アジア地域とも交流を進めるなど、海外市場への展開を含め一層の躍進が期待されている。

 この中心となってきたのが富山県薬事総合研究開発センターで、都道府県立では全国唯一の薬事専門の研究センター。薬事に関する研究開発、試験、分析、技術指導をはじめ、医薬品などの品質、有効性及び安全性の確保を図り、県内の薬業振興と県民の保健衛生の維持向上を図るための業務を行っている。センターによる主な研究開発テーマとして、「天然物の免疫制御作用を活用した医薬品シーズの開発」、「飲みやすさに配慮した生薬・漢方製剤の開発研究」、「富山シャクヤクのブランド化推進事業」などを挙げている。

●バイオ医薬品の研究・開発を後押し

 今後、富山県の医薬品産業が発展を続けていくためには、バイオ医薬品などの新たな成長分野への参入により、付加価値の高い医薬品の開発・製造を推進していくことが重要である。

 バイオ医薬品は、遺伝子組み換え技術、細胞融合などバイオテクノロジーを活用して製造される医薬品。有効成分がタンパク質由来、生物由来の物質から産生されるため、化学合成による低分子医薬品に比べて分子が大きく、構造が複雑である。関節リウマチやがんなどへの効果が期待されている。ただ、バイオ医薬品の製造、品質管理には高度なノウハウや高額の分析機器等が欠かせないため、研究・開発に乗り出せない企業や大学が少なくないという。

 県では、こうしたハードルを取り払い、バイオ医薬品等の付加価値の高い医薬品等の研究・開発を後押ししようと、「創薬研究開発センター」を整備した。機器の購入費を含めた総事業費は約9億4千万円。半額を補助する国の交付金を活用した。建物は鉄骨造2階建てで延べ1,287平方メートル。化学式を連想させる光沢感のある六角形のパネルを配した外観が印象的だ。1階には高度な分析機器等を設置。2階には研修会やセミナーを開催できる大会議室・中会議室、県内企業などを対象とした相談室を整備し、技術開発や人材育成を支援する。


▲開所式で研究員が施設を説明(左)
▲液体クロマトグラフ
飛行時間型質量分析計(右)

 新たに整備する分析機器等は、成分を分離して対象物質の質量を測定し構造を推定する装置「液体クロマトグラフ飛行時間型質量分析計」や、医薬品の主成分や不純物の量を評価する「液体クロマトグラフタンデム四重極型質量分析計」など25種類。セルソーターや分子間相互作用解析装置等も設置し、細胞培養から解析まで実施が可能だ。センターの研究員が利用するのはもちろん、企業や大学も製品の分析などに利用できる。

 県では、今夏、富山大学や県立大学と協力し、東京圏の大学生を対象にしたサマースクールを実施し、両大学で医薬品の研究開発などに関する講義や実習を実施するとともに、県内製薬企業でのインターンシップを実施する。また、創薬研究開発センターでの実習も予定しており、次代を担う学生に創薬分野への関心を高めたい考えだ。

●開所記念シンポジウム開催

 6月12日(火)、創薬研究開発センター開所記念シンポジウムを富山国際会議場で開催する。創薬研究開発センターを活用した医薬品開発や、富山の医薬品産業のさらなる発展に向けた取組みを考える場とする。細胞死の世界的な研究家で大阪大学免疫学フロンティア研究センター教授、長田重一氏の基調講演「細胞膜の非対称性」、パネルディスカッション「創薬研究開発センターへの期待~今後の医薬品開発と富山県医薬品産業の更なる発展に向けて~」のプログラムで構成する。薬事総合研究開発センター所長の髙津聖志氏がコーディネーターを務める。詳細は http://www.pref.toyama.jp/branches/1285/index.htmlへアクセスを。

問合せ
●富山県薬事総合研究開発センター
TEL.0766-56-6026
FAX.0766-56-7286
http://www.pref.toyama.jp/branches/1285/index.html

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