船上からの桜並木の景観や水のエレベーターなどを楽しめる「富岩水上ライン」。平成30年の運航が3月24日(土)からいよいよスタートする。お花見運河クルーズやお花見ナイトクルーズなど、春ならではのクルーズで富山を体感してみてはいかがだろう。

●都会のオアシス・富岩運河環水公園から始まる春物語

　水面を渡る優しい風、羽を休める水鳥たち、運河沿いの桜並木に心を癒すひととき――「富岩水上ライン」は、富山駅北に広がる富岩運河環水公園から国指定重要文化財・中島閘門を通り、富山港・岩瀬運河の岩瀬カナル会館までの約7kmを約60分で結ぶ運河クルーズ。今年は3月24日(土)～11月25日(日)の期間中、毎日運航(運休日あり)。流線形のモダンな船体と美しい曲げガラスが印象的な“fugan(ふがん)”、グリーンの船体のソーラー旅客船“sora(そら)”、レッドの船体の可愛らしい電気ボート“もみじ”の3隻が就航する。

　通常運航コースは、Ａ:富岩運河環水公園→中島閘門(水のエレベーター)→岩瀬カナル会館前(乗船時間約60分、大人1,500円)、Ｂ:岩瀬カナル会館前→中島閘門(水のエレベーター)→富岩運河環水公園(乗船時間約70分、大人1,500円)、Ｃ:富岩運河環水公園→中島閘門(水のエレベーター＆操作室見学)→富岩運河環水公園(乗船時間約70分、大人1,200円)の3つ。ＡとＢにはライトレール片道乗車券が付いており、お洒落な路面電車の旅も体感できる。

●幻想的なナイトクルーズへ

　春の季節におすすめしたいのが、「お花見運河クルーズ」＜4月2 日(月)～8日(日)＞と「お花見ナイトクルーズ」＜4月2日(月)～13日(金)＞。富岩運河沿いは｢富山さくらの名所70選｣に選定されており、環水公園から中島閘門までの約2.1kmの間には、桜の代表品種・ソメイヨシノや、昭和初期に富山県で発見されたコシノヒガンザクラなど約390本の桜の景観を楽しめる。4月上旬と10～12月の年に2回開花する珍しい品種・ジュウガツザクラも植栽されており、1年を通して運河の景観を彩る。

　「お花見運河クルーズ」は環水公園を出航し、中島閘門の手前で折り返す周遊コース(水のエレベーター体験はなし)。乗船時間は約40分。期間中、毎日7便運航(10:30～16:30)で、乗船料金は大人800円、子ども400円。「お花見ナイトクルーズ」は1日2便運航で、乗船時間は約1時間30分(17:30～19:00、19:30～21:00)。環水公園を出航し、中島閘門の水のエレベーターを体験して住友運河手前で折り返す。乗船料金は大人、子どもともに3,000円で、とやま自遊館特製のお花見弁当・飲み物が付いている。夜、幻想的にライトアップされた環水公園や桜の景観を船上から見ながら、富山の幸をふんだんに取り入れたお花見弁当を味わう口福の時間。目で舌で富山の春を楽しみたい。

　お花見シーズンを終えると、「ナイトクルーズ」が始まる。運航は4月14日(土)～5月27日(日)の土・日曜、祝日。GW中の5月 1日(火)、2日(水)も運航する。環水公園を出航し、中島閘門の水のエレベーターを体験して折り返す。乗船時間は約1時間10分(第1便17:30～18:40、18:50～20:00)。乗船料金は大人1,200円、子ども600円。

●多彩な魅力、運河クルーズ

　中島閘門は富岩運河の上流と下流の最大水位差2.5ⅿを調節するパナマ運河方式の閘門。昭和の土木構造物として全国で初めて国の重要文化財に指定された。富岩水上ラインでは“水のエレベーター”を体験しながら閘門を通航する。ナイトクルーズではライトアップされレトロな雰囲気を醸し出す閘門と運河の景観がインスタ映えしそうだ。

　他にも富岩水上ライン周辺は運河クルーズの起点となる富岩運河環水公園をはじめ、港町・岩瀬など、見どころがいっぱいだ。

　環水公園西地区には昨年8月、アートとデザインを体感できる富山県美術館(TAD)が開館。NHK Eテレで人気の番組「デザインあ」のコンセプトを実際の体験に発展させた展覧会「デザインあ展」が、3月31日(水・祝)からスタートする。屋上庭園「オノマトペの屋上」からは、環水公園のシンボル、天門橋・展望塔や運河、立山連峰の絶景が楽しめる。

　岩瀬は、江戸期から明治期にかけて北前船交易で栄えた港町。町中心部には、北前船の廻船問屋の家屋、土蔵群、杉玉の下がる造り酒屋などが建ち並んでおり、かつての隆盛を偲ばせる。町並みを眺望しながら海風、歴史の風を感じ取ってみよう。

　富山県観光振興室では、「歴史と自然豊かな富岩運河を体感できるクルーズをお楽しみください。お花見ナイトクルーズでお花見弁当を味わいながら、富山の春の息吹を感じてみませんか」と話している。