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2017年 12月 20日 [ トピックス ]
No.837:「日本の20世紀遺産20選」に県内から2件
●日本を代表する学術的価値
「日本の20世紀遺産20選」は20世紀に建設された土木構造物等について、今後の世界文化遺産登録に向けて、日本を代表する学術的価値のある20件を日本イコモス国内委員会が選定したものだ。
イコモスは、遺跡や歴史的建造物の保存に関わる専門家でつくる国際的な非政府組織(NGO)。国連教育科学文化機関(ユネスコ)が世界文化遺産を登録する際の諮問機関でもある。現在、150カ国以上が参加しており、各国で国内委員会が組織されている。
イコモスが20世紀遺産を選んだ背景には、世界文化遺産に登録された20世紀遺産が著名な建築家による作品に偏っている状況があるからだ。20世紀遺産の多様性を考えようと、日本を含む約30カ国の国内委員会に呼び掛けて遺産を選んでいる。
日本では専門家でつくるワーキンググループが近代建築の作品やインフラ、都市公園などを選定。「20世紀に新たに登場したもの」、「19世紀までにあり、20世紀に進化・展開したもの」、「歴史上の事件を象徴するもの」、「伝統と20世紀遺産の対比・融合」、「“日本”という地域性を表しているもの」を選定の視点とした。
上位を紹介すると、1番目は「上野恩賜公園と文化施設群」で2番目は「国立代々木屋内総合競技場」。それらに次いで、「立山砂防施設群」が3番目、「黒部川水系の発電施設群」が4番目に選ばれた。1番目は、国立西洋美術館がル・コルビジェの建築ですでに世界文化遺産となっており、2番目の国立代々木屋内総合競技場は世界的に有名な丹下健三氏が設計した建築物であることを考えると、本県から選定された2件は実質的には日本で最重要な土木遺産であると認定されたことになる。富山県の20世紀遺産の学術的価値、歴史・文化の魅力が学術機関によって認められたもので、ふるさと富山の魅力ある地域づくりを進める富山県にとって大きな意義がある。
●チャレンジ精神、高く評価
「立山砂防施設群」は、白岩堰堤と本宮堰堤、泥谷堰堤からなる「常願寺川砂防施設」(国重要文化財)と立山砂防工事専用軌道(国登録記念物)で主に構成される。日本イコモス国内委員会では、「水系一貫の総合的砂防システム」と評価。海外から導入した砂防技術を発展させて、世界に広めた影響の大きさを強調した。常願寺川上流の立山カルデラでは崩壊土砂の流出を防ぐため、1926年から砂防工事が行われている。県では、防災遺産としての世界文化遺産登録を目指している。これまでの調査研究や国際シンポジウムなどで積み上げてきた成果が高く評価されたとしており、世界文化遺産登録に向けた重要で大きな前進と考えている。
「黒部川水系の発電施設群」は、黒部ダムや宇奈月ダム、仙人谷ダムをはじめ、日本近代建築史を代表する建築家・山口文象氏が設計した黒部川第二、地下式の沈砂池を採用した第三、全地下埋設式の第四発電所のほか、水平歩道、旧日電歩道などが主な構成資産。20世紀の特徴である発電施設の大規模化を象徴し、「自然と一体化した電源開発の究極」と評価された。立山黒部国際ブランド化に向けた重要な施設群であることから、現在、県が取り組んでいる立山・黒部の魅力の磨き上げに大きな支援となる。
石井県知事は、「いずれの遺産も郷土の先人の英知と努力が凝縮され、世界的にも先駆的な事業によって成し遂げられた構造物であることから、ふるさと富山の人々のチャレンジ精神が高く評価されたものと考えている。立山砂防の世界文化遺産登録のハードルは極めて高いものの、引き続き、関係市町や関係団体など幅広い県民の皆さんと連携・協力しながら取り組んでいきたい。また、立山黒部の世界ブランド化に向けては、関係事業者の皆さんや熱意あふれた地域の方々とも連携しながら、立山黒部が世界水準の滞在型・体験型の山岳観光地となるよう取り組みを進めていきたい」と語っている。
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