トピックス

アーカイブ

2016年 6月 29日 [ トピックス ]

No.762:薬都・富山を世界に発信!

 平成28年6月9日、医薬品の審査や安全対策などを担う独立行政法人医薬品医療機器総合機構(略称:PMDA)の北陸支部が富山県庁内に開所した。併せて、北陸支部にアジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所を開設。国内有数の医薬品の生産拠点・富山県の知名度アップ、県内製薬企業の国際展開の推進などに期待が高まっている。

●「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所」開設

 医薬品医療機器総合機構(PMDA:東京都千代田区)は、医薬品の副作用などによる健康被害の救済や、医薬品・医療機器等の製造販売の承認審査や安全対策を担う独立行政法人。これらの業務を通じて、国民保健の向上に貢献することを目的としている。


▲独立行政法人医薬品医療機器総合機構
(PMDA)
北陸支部開所式の様子(6月9日)

 北陸支部の設立は、政府関係機関移転基本方針(平成28年3月22日付 まち・ひと・しごと創生本部決定)を踏まえたもので、富山県くすり政策課内に事務局が置かれた。また、同支部に「アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所」を開設。アジア地域をはじめとした各国の薬事規制担当者を富山県に招聘し、GMP調査などに関する研修を行う。

 この「GMP」とは、Good Manufacturing Practiceの略で、医薬品・医薬部外品の製造管理と品質管理に関する基準のこと。医薬品などの製品の製造には、適切な品質のものを恒常的に製造することが求められる。製造所では、適正な製造設備を用いて、製造工程や品質管理体制を適正に維持管理していくことが大切だ。PMDAでは、製造所に対して、その製造設備や製造管理手法がGMPに適合し、適切な品質のものを製造できる体制であるかどうかを調査している。

 アジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所では、アジア各国の薬事規制担当者に日本の医薬品の製造現場での品質管理基準、査察方法、改善指示などを学べる機会を提供する。1回の研修期間は5日間ほどで、GMP調査に関する講義と医薬品の製造所での実地研修を行う。第1回の研修は、県内の医薬品メーカーの協力を得て、本年12月頃に実施される予定だ。

 県内に設置された「研修所」を含む日本で初めてのアジア医薬品・医療機器トレーニングセンターの設立の背景には、欧米で承認を受けた医薬品等の製品はアジア諸国で簡略審査制度等の対象だが、規制や制度面で同等にもかかわらず日本の製品は欧米と同等の位置づけを得られていないことがある。海外に向けて日本の医薬品・医療機器の規制・制度が、積極的に情報発信されてこなかったことが要因だ。アメリカはアジア各地における地域事務所の開設や、自国の医薬品や医療機器などに関する規制・制度の積極的な普及に取り組んでいる。

 同研修所の開設は、日本の規制や制度の情報を、アジア各国の薬事規制担当者に積極的に発信することで、日本の医薬品・医療機器への理解を促進し、国内メーカーのビジネスチャンスの拡大につなげることや、アジア全体の医薬品・医療機器などに関わる規制のレベルアップに貢献することがねらいだ。富山県にとっても県内での研修を通じてノウハウを共有し、アジア各国とのネットワーク、信頼関係を築き、医薬品の生産拠点としての富山の知名度アップや、県内製薬企業などの国際展開に役立つことが期待される。

 その他、PMDA北陸支部では、医薬品の有効性や安全性の向上に資する取組みを実施することとなっており、具体的には製造現場の技術者とPMDA職員による意見交換を積極的に進めることで、富山県はもちろん、日本の医薬品の品質向上が図られることが期待される。

●富山県の医薬品生産金額、国内第2位


▲PMDAと富山県の協定書の手交
<石井知事(左)と
PMDAの近藤達也理事長(右)>

 PMDAの北陸支部が富山県に開所した理由には、配置薬業に始まる300年以上の歴史をバックボーンに、富山県が国内有数の医薬品の製造所の集積地ということもある。県内には、新薬開発型メーカー、特殊剤型メーカー、ジェネリックメーカー、大衆薬メーカー、配置薬メーカー等100を超える製造所が集積する。平成26年の富山県の医薬品生産金額は過去最高額の6,163億円となり、都道府県別では埼玉に次いで第2位(※第3位:大阪、第4位:静岡)、全国におけるシェアは9.35%となった。また、人口1人あたりの医薬品生産金額は58万円と、全国平均の5.2万円を大きく超え、全国1位となっている。さらに世界の薬都、スイス・バーゼル地域やインドネシアとの交流などにより海外市場への展開など一層の躍進が期待されている。

 富山県くすり政策課では、「富山県は医薬品産業の集積地。PMDAの北陸支部とアジア医薬品・医療機器トレーニングセンター研修所の運営、研修をバックアップしていきたい。また、アジアなど海外からの研修生には、江戸時代から300年余の伝統を誇る富山の配置薬(置き薬)システム、『先用後利』の精神についても知って、世界へ広めてほしい」と話している。

問合せ
●富山県 厚生部 くすり政策課
TEL.076-444-3235
FAX.076-444-3498
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1208/

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑