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2015年 4月 8日 [ トピックス ]

No.702:春風に誘われて富山へ、生まれ変わった富山県民会館へ

 大規模改修工事を終え、北陸新幹線開業後の3月16日に一般供用を開始した富山県民会館(富山市新総曲輪)。正面玄関前のキャノピー(ひさし)に曲面ガラス、1階ロビーの柱や内装に越中和紙など、富山の技を活かしている。デザイン活動家のナガオカケンメイ氏がディレクションするカフェ・ショップ「D&DEPARTMENT TOYAMA」や、4月25日(土)から始まる「日展 富山展」などの情報も紹介しよう。ぜひ足を運んでほしい。

●文化振興の中核拠点、にぎわいの創出拠点に


▲アルミパネルを施したホール棟が
印象的な富山県民会館(左)
▲キャノピー(ひさし)(中央)
▲D&DEPARTMENT TOYAMA(右)

 富山県民会館は、ホールや美術館、会議室、展示室、カフェ、レストランなどを備えた複合施設。昭和39年の開館以来、芸術文化振興の拠点として、また、市中心部のランドマークとして親しまれてきた。しかし、半世紀が経過し、老朽化や耐震性の不足への対策から、約1年をかけてリニューアルし、より魅力的な施設に生まれ変わった。

 ホール棟の外壁はブラウンのタイルから光沢のある白色のアルミパネルになり、輝く未来を予感させるような軽やかな雰囲気に仕上がった。正面玄関前のキャノピー(ひさし)には、北陸新幹線のフロントガラスを製作した新光硝子工業(砺波市)の手による曲面ガラスが用いられているので見てほしい。

 館内に入ると、吹抜けのロビーに並ぶ6本の柱が印象的。国の伝統的工芸品に指定されている越中和紙の一つ、蛭谷(びるだん)和紙の装飾を施しており、8パターンの照明による色合いの変化が楽しめる。また、受付カウンターの背後の壁には五箇山和紙を使っており、訪れる人をやさしく迎えてくれる。吹抜けに面した2階ホールロビーのガラス面には、蛭谷和紙で表現された立山連峰がぼんやりと浮かび上がり、立山連峰の雄大さと和紙独特の温もりを感じることができる。


▲ロビー(左)
▲ホール・客席(右)

 ホールには、幅1.8mの張出舞台を新設したほか、舞台、音響、照明設備の一部を一新したことで、より多彩な演出が可能になった。座席幅48cmから51cmに拡張し、座席数は1,217席から1,105席に。ゆったりとした座り心地のよいシートになり、より快適に鑑賞できるようになったことも話題だ。

 照明設備と内装を一新した美術館の正面入り口では、高岡銅器の着色技術で仕上げられたエメラルドブルーの銅板が独特の素材感と風合いを醸し出している。県内各地の伝統の技を活かした装飾をぜひ観賞してほしい。

 このほか、1階ロビーから2階ホールロビーへのエスカレーターの新設、地下展示室エレベーターの2階ホールロビーまでの延伸、ギャラリー兼会議室の新設、会議室内装のリニューアル、トイレの洋式化、女子トイレ・多目的トイレの増設、会議室棟全フロアのWi-Fi環境整備、デジタルサイネージの導入など、利用者に使いやすいよう機能の充実も図っている。

 なお、耐震化対策として、耐震強度が不足していた会議室棟には、地下1階の40本余りの柱に免震装置を設置。免震層によって上部に伝わる地震の揺れを軽減する構造となっている。

●デザイン性の高い工芸品や県産食材を使った料理


▲D&DEPARTMENT TOYAMAのショップ

 1階にある「D&DEPARTMENT TOYAMA」(ディアンドデパートメント トヤマ:TEL.076-471-7791)は、気鋭のデザイン活動家のナガオカケンメイ氏(京都造形芸術大学教授、武蔵野美術大学客員教授)が主宰するプロジェクトによるカフェ・ショップ。渋谷ヒカリエなどにも出店し、息の長い、その土地らしいデザイン“ロングライフデザイン”を発掘。富山の店舗は「D&DEPARTMENT」の国内外11店舗目となる。カフェでは、県産の食材などを使った洋食メニューを提供。ショップでは、県内の伝統工芸品や地場産業のなかでもデザイン性の高いものや県総合デザインセンターが中心となって開発した「越中富山 幸のこわけ」、県酒造組合加盟の蔵元の酒、富山ガラス工房所属の作家の作品、県の刊行物なども展示・販売する。このほか、国内・世界のロングライフデザインから厳選した生活用品やファッションアイテム、書籍なども並ぶ。

 8階には、レストラン清風(せいふう)・バンケットホール(富山電気ビルレストラン県民会館店:TEL.076-432-4110)がある。内装に八尾和紙や組子を採用しているほか、立山町で400年以上の伝統をもつ越中瀬戸焼など県内工芸品の器に県産食材を中心に使った料理を提供するなど、富山らしさを堪能できる。

●北陸新幹線で富山へ、コンサートや舞台を


▲改組 新 第1回 日展 富山展(左)
▲久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団
富山特別公演(右)

 この新装になった県民会館・ホールで開かれるコンサートや演劇も楽しみだ。“県民会館リニューアルオープン・開館50周年記念事業”として、「May J. Spring Tour2015」<4月14日(火)>、「久石譲&新日本フィルハーモニー交響楽団 富山特別公演」<5月9日(土)>がホールで行われる。同特別公演では、久石譲氏がドヴォルザークの交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」、自身の交響変奏曲「人生のメリーゴーランド」(『ハウルの動く城』より)、 富山県ふるさとの歌「ふるさとの空」などを指揮する。富山県合唱連盟特別編成合唱団による混声四部合唱「ふるさとの空」では、来場者が一緒に斉唱できるというのもうれしい。

 6月8日(月)19:00開演の舞台「夜想曲集」(原作:カズオ・イシグロ、原題「Nocturnes」)も楽しみだ。キャストは東出昌大氏、安田成美氏、近藤芳正氏ら。上記チケットは、アーツナビ(http://arts-navi.com)、ローソンチケットなどで取り扱っている。

 美術を堪能するなら、「改組 新 第1回 日展 富山展」<4月25日(土)~5月17日(日)>へ。国内最大の総合美術展(日本画、洋画、彫刻、工芸美術、書の5部門)として知られる「日本美術展覧会」(日展)。組織改革に伴い、「改組 新 第1回 日展」として、平成26年10~12月に東京・国立新美術館で開催され、巡回展は26年12月、京都から始まり、名古屋、大阪、福岡を経て、富山県民会館へ。現代日本美術界を代表する巨匠、中堅、新鋭作家らの作品に県内作家の作品を加えた計約360点が展示される。日本画家・大島秀信氏の遺作となった「剱岳」、洋画家・藤森兼明氏の「アドレーション カクリ トリプテッチ」など県内関係出品者の作品を楽しみにしたい。

 県文化振興課と県文化振興財団では、「北陸新幹線開業という歴史的な年にリニューアルオープンした富山県民会館。耐震化やユニバーサルデザインの導入、カフェ・レストランのリニューアルなどによって、機能も、魅力も向上し、利用者の皆様にとって使いやすく、また楽しめる施設になりました。そばを流れる松川の桜はまさに開花の季節。春風と桜に誘われて富山へ、魅力的に生まれ変わった県民会館にどうぞお越しください」と話している。

問い合わせ
●富山県生活環境文化部 文化振興課
TEL.076-444-3454
FAX.076-444-4438
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1718/

●公益財団法人 富山県文化振興財団 富山県民会館
TEL.076-432-3111
FAX.076-432-0853
http://www.bunka-toyama.jp/kenminkaikan/

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