富山駅北の富岩運河環水公園から港町・岩瀬までをクルーズする「富岩水上ライン」。通常運航は4月1日(水)からスタートするが、今年は北陸新幹線の開業を記念して、3月14日から特別運航が始まった。3月は土・日曜を中心に運航。27日(金)からは、名称を一般公募した新艇「fugan」(ふがん)も登場する。デザイン性に優れた環境にやさしいエコな船だ。春風に誘われて、運河クルーズへ。

●新艇「fugan」、流線型のモダンな船体

　富岩水上ライン3月の特別運航は、あと7日間。21日(土)、22日(日)、27日(金)、28日(土)、29日(日)、30日(月)、31日(火)の各日10:00～15:45の間に10便が運航する。富岩運河環水公園から国指定重要文化財・中島閘門（なかじまこうもん）の手前で折り返す周遊コースで、乗船時間は約40分。料金は大人800円。ぜひ乗船し、富岩水上ラインの魅力を体感してほしい。27日(金)～29日(日)に富山市で開催される「エンジン01文化戦略会議オープンカレッジin富山」で富山を訪れる方はあわせて楽しもう。

　3月27日(金)から運航を始める新艇「fugan」は、先端の流線型のガラスが目を引く。北陸新幹線に使われた曲げガラスの技術で製造されたモダンな形状だ。総トン数は約16トンで、現船「sora」(そら)よりも一回り大きい。長さ17.4ｍ、幅3.3ｍで、定員は55人。電気モーターを動力に、4ノット(約7km/h)ほどで巡航できる。船体はアルミ製。屋根にはソーラーパネルを装備し、太陽光発電も活用するエコな乗り物だ。

　「fugan」の名称は、歴史ある富岩運河を現代風に表記。水上ラインの他の船名と調和するように、「sora」と同じローマ字小文字、「もみじ」と同じ3文字にそろえた。

●4月1日～11月23日の毎日、通常運航

　富岩水上ラインの通常運航はこれまで4～11月の土・日曜・祝日だったが、新艇「fugan」、「sora」、「もみじ」の3隻の電気水上船がそろったことで、今年度は4月1日(水)～11月23日(月・祝)の期間中、中島閘門の点検等の日を除いて毎日運航する。

　通常運航コースは、Ａ: 富岩運河環水公園→中島閘門(水のエレベーター)→岩瀬カナル会館前(乗船時間約60分、大人1,500円)、Ｂ: 岩瀬カナル会館前→中島閘門(水のエレベーター)→富岩運河環水公園(乗船時間約70分、大人1,500円)、Ｃ: 富岩運河環水公園→中島閘門(水のエレベーター＆操作室見学)→富岩運河環水公園(乗船時間約70分、大人1,200円)の3つ。ＡとＢにはライトレール片道乗車券が付いており、次世代型路面電車システムを体感できる。

　乗船場のある富岩運河環水公園の園内には、2つの展望塔をもつ天門橋、スターバックスのストアデザイン賞2008年の最優秀賞を受賞し、“世界一美しいスタバ”と呼ばれる「スターバックス富山環水公園店」、フレンチの鉄人・坂井宏行シェフ監修のフレンチレストラン「キュイジーヌフランセーズラ・シャンス」などがある。中島閘門は富岩運河の上流側と下流側の2.5ｍもの水位差(国内で最大級)を調節するパナマ運河式閘門で、昭和9年に建造。平成10年に昭和の土木構造物では全国で初めて国重要文化財に指定された。

　富岩水上ラインの北の起点となる岩瀬カナル会館では運河を眺めながら食事や買物を。北前船で栄華を極めた、かつての廻船問屋の建物が軒を連ねる岩瀬の町歩きも楽しみだ。「スムシコ」と呼ばれる出格子、杉玉の下がる造り酒屋の風情を感じてほしい。

●桜の風情を堪能しながら運河クルーズ

　春といえば、桜が舞う季節。4月1日(水)～17日(金)には「お花見運河クルーズ」が実施される。富岩運河環水公園から中島閘門の手前で折り返す周遊コース。富岩運河沿いは｢富山さくらの名所70選｣に選定されており、コース約2.1kmの間にはソメイヨシノやコシノヒガンザクラ、ジュウガツザクラなど約390本のサクラが眺望できる。水面にハラハラと散るピンクの花びらも風情がある。また、4月4日(土)11:00～には、全日本チンドンコンクールに出場する「チンドンマン」が富岩水上ラインで軽妙な音を響かせるというからお見逃しなく。

　富岩水上ラインを利用すると、いきいきKAN、岩瀬カナル会館、とやま自遊館、カナルパークホテル、富山地鉄ホテルなどの協定施設で買物・飲食などが割引になるなどのサービスがあるので、ぜひ利用してほしい。

　富山県観光課では、「新艇fuganが仲間入りし、平成27年度、富岩水上ラインは4月から11月までの毎日運航となります。運河を走る水上船は電気だけを使った環境にやさしい船です。船上から桜や、水面に羽を休める水鳥などを眺められる運河クルーズが楽しめます。乗船の予約や運航状況はホームページhttp://fugan-suijo-line.jp/で確認できます。ぜひご利用ください」と話している。