富山大学理学部では、教員が中学校・高校に出向いて、科学の講義を行なう「出前講義」をスタートした。中学生・高校生・一般を対象に、教科書の中の理科から少し離れて、生活に身近な科学をテーマに無料で講義を行ない、科学の面白さをもっと感じてもらおうというもの。講義メニューには、地球上になぜ水が生まれたかを考察する「水の不思議」、現在大きな社会問題になっている「環境ホルモン」、食品の遺伝子組替えやクローンなど私達にとても身近な物質であるＤＮＡを取り上げた「くらしの中のDNA」など、バラエティに富んだ31項目のテーマが並んでいる。
　「教科書で習うのは過去に誰かが発見した法則や事実ですが、現実は原子力開発や遺伝子研究など、先端の科学は日夜ものすごいスピードで進んでいる。つまり、授業で習う理科と、現代科学技術のギャップが大きすぎて、学生の中でつながっていかないんですね。本来そこにはドキドキする気持ちや感動があるべきなのに。つまらないという気持ちや苦手意識がどんどん学生の理科離れに拍車をかけている」と富大理学部の金森寛教授。
そういえば、「高校の物理や化学はノートの問題を解くのに精いっぱいで、楽しさや面白さを感じることがなかった」という人も多いのでは。学生時代、もっと勉強しておけば良かったと苦い思いを噛みしめている社会人の方にも、この出前講義は思いきり楽しめる内容になっている。
科学を知ることは、そのままその時代を生きる人間について知ること。この出前講義、「科学はこんなに面白いんだ！」という教授群の思いがこもった“アツイ科学のはなし”が聴けそうだ。

<<講義メニュー>>
《物理》「X線で原子を観る」飯田 敏「低温の不思議」桜井醇児
《化学》「富山の水と自然環境」「水の不思議」笠原一世「活躍する繊維金属」
「生体の中の繊維金属」金森 寛 「化学と環境」清棲保弘 など他31テーマ

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