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2008年 2月 13日 [ トピックス ]
No.339-1:高級酒醸造向けに、酒米の新品種「富の香」開発
富山県農業技術センターで県オリジナルの酒造用水稲品種「富山酒69号」が開発され、「富の香(とみのかおり)」を候補名称として国へ品種登録と商標登録の出願が行われた。高級酒米として主に西日本で栽培されている「山田錦」と富山県育成品種「雄山錦」を交配させたもので、平成8年度から育成が進められてきた。
●品種・商標登録を出願
富山県農業技術センターで県オリジナルの酒造用水稲品種「富山酒69号」が開発され、「富の香(とみのかおり)」を候補名称として国へ品種登録と商標登録の出願が行われた。
「富の香」は、大吟醸酒などの高級酒米として、主に西日本で栽培されている「山田錦」と富山県育成品種「雄山錦」を交配させたもの。「山田錦」並みの品質を持ち、県内での栽培に適した富山ならではの酒造用品種の開発を目指し、平成8年度から育成が進められてきた。成熟期は晩生で粒も大きく、中心部の心白が現れやすいのが品種の特徴で、収量については「五百万石」(新潟県育成)と「雄山錦」よりやや劣るが、「山田錦」より多くなる。
県内における酒造用米の作付面積は約930haで、栽培品種のほとんどが収量・品質の安定している「五百万石」となっている。県内酒造メーカーでは、原料米として「五百万石」と「雄山錦」を主に使用しているが、大吟醸酒などの高級酒の醸造には、「山田錦」を主に使用している。しかし、西日本より気温が低い県内で「山田錦」を栽培すると、成熟期が遅すぎて、良質な米の収穫と収量の確保が困難。また、「山田錦」は背丈が高く、稲が倒れやすいなどの欠点がある。さらに他の酒米と比べると価格が高く、安定して確保するのが難しい状況にある。このため、山田錦に匹敵する醸造特性と富山に適した栽培特性を併せもった新品種の開発が望まれていた。
●富山ならではの高級ブランド酒の開発へ
ネーミングは、“富山をイメージさせながら、全国にも通用する名称を”というコンセプトを元に、県酒造組合や農業関係団体、県関係機関などでつくる命名検討委員会で選考。森、花、海など、富山の美しい自然を連想させる香しい酒のイメージが伝わってくるといった理由で「富の香」に決定した。“富山生まれの富山ならではの高級酒”ができるようにという思いが、名称に込められている。
現在、酒造メーカー数社が「富の香」を用いて試験的に酒の醸造を進めている。今月9日に高岡市内で行われた「越中とやま食の王国フェスタ2008〜冬の陣」の“越中料理と地酒を楽しむ会”では試作の酒が披露され、「味にまろやかさがある」などと好評。酒造メーカーの関係者も「富の香」を使った酒づくりに手応えを感じている。
今後の計画としては、平成20年度に県内約8haで実証栽培し、酒造メーカーによる試験醸造を拡大させる。21年以降、県の奨励品種に採用し、「五百万石」や「雄山錦」とともに、県を代表する酒造用米・高級酒米として本格的に栽培を進める計画。
富山県農林水産部農産食品課では「酒造メーカーと協力し、『富の香』を活用した富山ならではの高級ブランドの酒の開発につなげていきたい」と話している。
問い合わせ
●富山県農林水産部農産食品課
TEL.076-444-3283
FAX.076-444-4410
http://www.pref.toyama.jp/cms_sec/1613/