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2006年 10月 25日 [ トピックス ]
No.271-1:定置網で世界と交流! 氷見市漁業訪問団、タイへ
氷見市漁業訪問団は、9月下旬から10月上旬、平成15年から定置網漁業を指導しているタイ・ラヨーン県などを訪れ、定置網敷設のための準備指導や漁場の調査・選定、敷設済定置網の点検、国際セミナー、定置網漁の視察などを行った。
●漁獲量が増え、定置網が着実に根付きつつある
氷見市漁業訪問団は、9月下旬から10月上旬、平成15年から定置網漁業を指導しているタイ・ラヨーン県などを訪れ、定置網敷設のための準備指導や漁場の調査・選定、敷設済定置網の点検、国際セミナー、定置網漁の視察などを行った。
日本海側有数の魚都、氷見市。氷見沖2〜4kmの富山湾には長さ300m以上もある大型定置網が仕掛けられ、冬の寒ブリに代表される新鮮な魚が銀鱗を躍らせる----。定置網は、魚を囲い、網に誘導する垣網から溜まり場となる角戸網、登り網、身網へと魚を追い込む仕組み。魚を引き上げる身網に追い込まれるのは定置網に入った魚の約2割とされ、環境にやさしい資源管理型漁法といわれている。
氷見市は、平成14年の世界定置網サミットに参加した東南アジア漁業開発センター(SEAFDEC)からの、タイでの定置網漁業導入に向けた事業への協力要請により、平成15・16年度に定置網漁業者を派遣し、技術指導にあたった。そして定置網漁業の定着にはさらなる技術支援などが必要として、JICA(国際協力機構)草の根技術支援事業の助成を受け、平成17年度から19年度までの3年間、氷見市が事業主体となって、「タイ国資源管理型沿岸漁業技術支援事業」を行っている。今年度は特に、タイでの定置網漁業への理解と定着を、さらに東南アジア諸国に環境にやさしい定置網漁業の発信と普及を図るため、氷見市漁業訪問団が、バンコクから南東に約200km離れたラヨーン県などを訪れた。
氷見市とタイ東部海洋漁業開発センター(EMDEC)が主催した国際セミナーには、日本、タイ、インドネシアなど10カ国の漁業専門家ら110人が参加。タイの定置網技術導入の現状や日本の定置網漁業の現状、今後の展開などについて発表があった。ラヨーン県での定置網については、「漁獲量が増え、魚の価格が安定。鮮度がよく、市場での評価も高い」、「魚種が増えており、魚の生態系が回復しているのでは」などと意見が交わされた。
●東南アジアで定置網への関心が高まる
定置網漁の視察では、氷見から小型定置網を持ち込んで平成15年に最初に敷設したラヨーン県タポーン市沖約3kmで、地元の漁船3隻による網起こしの様子を見学した。タイでは巻き網(魚群を網で取り巻き捕る方法)による乱獲で漁獲量減少が問題になっているが、この日の定置網の網起こしでは風が強く、波が高い日にもかかわらず、漁師たちが手際よく作業を行い、アジやイワシなど約300kgを水揚げし、定置網が着実に根付きつつあることをうかがわせた。
タポーン市沖約3kmのほか、その西約1kmでの2カ所目の定置網敷設が進んでおり、タポーン市の東隣のバンペイ市、ナンコー市でも敷設の計画がある。氷見市とバンペイ市が定置網技術協力を通じた交流に関する覚書を取り交わし、定置網漁業に係る技術の指導と研修生の受け入れ、漁獲物の流通・水産加工に係る情報交換と研修など、4つの項目に取り組むことを約束したことも訪問の成果の1つといえる。
定置網の新設計画はタイだけでなく、インドネシアにも広がりを見せており、定置網への期待が高まっている。定置網が定着するには、漁業者の経済的な自立、リーダーの存在、安価な漁具が購入できる経済環境、漁具の補修・維持管理技術の向上などが挙げられており、今後の課題となる。
氷見市産業部水産漁港課では「タポーン市の漁師たちは定置網漁法に習熟してきており、要点だけ伝えればすぐに理解してくれる。ここでの成功によって、タイ国内や周辺国から定置網に対する関心が高まっている。技術指導を求める声に氷見市としてどう応えていくか今後よく検討していきたい」と話している。
問い合わせ
●氷見市産業部水産漁港課
TEL.0766-74-8102
FAX.0766-74-8104
http://www.city.himi.toyama.jp/