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1998年 11月 5日 [ トピックス ]

No.025-1: 東京・帝劇の『風の盆恋歌』で本場のおわらを指導。


■帝劇の芝居に本場のおわらを指導
 富山県八尾町の「おわら風の盆」をテーマにした高橋治氏の小説『風の盆恋歌』が、東京・帝劇で11月3日から28日まで上演されている。内容は、お互いに心を通わせながら離ればなれで20年の歳月を経て、1年に1度だけ、おわら風の盆の日に、八尾の町で逢瀬を重ねる恋の物語。八尾町やパリなどが舞台になっており、佐久間良子、永島敏行、名古屋章さんらが出演する。
 舞台の中で重要なシーンとなるのが、輪踊りや町流しといった「おわら」の場面。この指導を、富山県民謡おわら保存会踊りの部・特別指導員、谷井昭美さん(八尾町)が担当。興行を行う東宝から派遣された舞踊家2人に八尾町で所作などの指導を行った。
 このあと舞踊家らは、実際に舞台で踊る30人の役者に振り付けをすることになっている。

■八尾の町と「おわら風の盆」
 江戸時代から越中と飛騨の交流拠点として栄えた八尾町は、蚕種、生糸、和紙などの産業により発展してきた。格子戸の旅篭宿、白壁の土蔵、造り酒屋など、昔の面影を残す風情ある坂の町である。「おわら風の盆」は、この八尾町で300年以上前から受け継がれている。
 毎年二百十日の風が吹く9月1日から3日までの三日三晩、八尾の町はおわら一色に染まる。三味線、胡弓などの音に合わせて、「越中では立山 加賀では白山 駿河の富士山 三国一だよ」と歌声が流れはじめると、坂の町の上手から下手からと踊りの列が生まれる。そして気品高く、綿々としてつきぬ哀調の中に、優雅さを失わぬ詩的な歌と踊りは、多くの人々を魅了している。毎年期間中の3日間に全国から20万人もの観光客が訪れる。また、8月20日〜31日には前夜祭も行われている。

■2日間かけておわら踊りを伝授
 谷井さんが東宝から依頼を受けて踊りの指導をすることになったのは、十数年前から風の盆に訪れている高橋氏の紹介によるもの。2日間にわたって舞踊家らにみっちり指導をした。「ビデオを見ておられ、踊りの型はすでに覚えておられました。地元の踊り手の所作や味わいを知りたいということでお見えになられたようです」と話す谷井さん。決めの所作に入る途中の手の動き、足の踏出し方などが八尾とは微妙に違っていたとのこと。舞踊家らは、八尾の風土が育てたおわら独特の振りに強い感心を持ったようだ。谷井さんは、「八尾の町並みで踊るおわらとは雰囲気は多少違うと思いますが、それでも熱心に研究されていかれましたから、きっといい踊りをお見せできるはず」と、太鼓判を押している 。『風の盆恋歌』は、99年8月には名古屋の御園座での上演も予定されている。

●東宝演劇 テレザーブ
〒100-0005 東京都千代田区丸ノ内3-1-1
TEL 03-3201-7777(御園座公演は TEL 052-222-8203)

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