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1998年 9月 10日 [ トピックス ]
No.023-2:-富山の食材シリーズVol.2-グルメに大人気の富山湾の越中ブリ!
■本場のブリ料理
刺身、煮物、焼物など、いろんな料理に使われる寒ブリ。水揚げの時期になると、その美味を求めて、関東や関西から多くの人々が訪れる。ブリ料理は、県内の料理店や旅館・民宿で食べることができるが、なかでも、ブリ漁の本場氷見市にある料理旅館「誉一山荘(よいちさんそう)」のブリ料理は定評がある。市街地にほど近い高台に広がる朝日山公園の一角に位置し、昭和天皇も宿泊された由緒と歴史を誇る。部屋からは、氷見市街や富山湾、それに能登半島が一望でき、その絶景を楽しみながらブリ料理が堪能できる。
【ブリの刺身】誉一山荘では、その日の朝に氷見漁港に水揚げされた新鮮なブリを使っている。刺身には、特に脂がのった腹部を使用。厳寒の海でとれた寒ブリは、養殖ハマチや鮮度の落ちたブリとはちがって、身が引き締まり、少し固く感じられるくらいだ。脂がのっているため、食べると旨さが口の中いっぱいに広がり、魚臭さなどは微塵も感じられない。誉一山荘では、このブリの身を厚切りにして食べることができるほか、「薄造り」をポン酢で食べたり、あるいは「しゃぶしゃぶ」で出したりといろんな食べ方を楽しめる。
【ブリ大根】昔から作られている伝統料理。ブリのアラを旬の大根と一緒に煮込んだもので、ブリの旨さが大根に移って絶品の味となる。
【ブリの塩焼】鮮度が落ちたものは、タレを付けて照り焼にするのが一般的である。ところが氷見では鮮度が良いために、ほとんど塩焼にして食べている。塩味だけなので、ブリの本当のおいしさが味わえるわけだ。特に誉一山荘では、注文によっては、ブリのなかでも特に美味とされるカマの部分を塩焼にして出している。このカマの身は、300人分もの刺身が取れる大ブリ1匹からでも、わずか2人前しか取れない貴重なもので、グルメ垂涎の一品となっている。
【かぶらずし】ブリとかぶらを漬け込んだもので、富山の正月には必ず出される伝統料理。かぶらにブリの切り身をはさんで漬け、白色のかぶらにピンク色のブリの身が彩りも鮮やか。ぶりとかぶらの味となれ合いと歯ごたえが絶妙で、漬物の芸術品と呼ばれている。
【ブリのふとう】ブリの胃袋をお湯でゆがき、切って酢味噌で和えたもの。コリコリした食感があって、地元では昔から珍味とされてきた。
このほか、ブリの「寿司」、ブリの「ステーキ」などもあり、希望者にはブリのフルコースも用意している。これらのブリ料理は11月中旬〜2月まで味わうことができ、宿泊込みで15,000円〜、食事のみ10,000円〜となっている。
■富山湾産を特に越中ブリと呼ぶ
ブリはアジ科に属する魚で、カムチャッカ半島南部から台湾までの海を回遊する。成長するにしたがって名前が変わる出世魚の代表格として知られ、富山県では体長10cmほどの1才魚をツバイソ、15cmぐらいのものをコズクラ、2才魚の30cm程度のものをフクラギ、3才魚の50〜60cmをガンド、4才魚の65cm以上、体重4kgを超える成魚をブリと言っている。大きなものになると、体長が1m以上、体重10kg以上にもなる。
富山湾のブリは、北海で餌をたっぷり食べ、産卵のために日本海を南下してきたもので、そのために脂がのっておいしさも最高潮。この時期のブリを特に「寒ブリ」と呼び、なかでも富山湾産のものを「越中ブリ」または「氷見ブリ」と称し、冬の味覚の王者として珍重されてきた。平成8年には、シラエビ、ホタルイカと共に、ブリが「富山県の魚」に指定されている。
富山湾のブリ漁は、沖合に定置網を仕掛け、湾内に入ってきたところを捕獲する。その歴史は古く、戦国時代の末には氷見沖で定置網漁が行われ、江戸時代に湾内全域に広がったとされる。夏はツバイソ、コズクラが獲れ、秋にはフクラギ、ガンド、そして晩秋から冬にかけてブリ漁の最盛期を迎える。
■昔から珍重されてきた越中ブリ
めでたい出世魚のブリは、昔から正月の贈答用に使われてきた。加賀藩時代には、前田利家が氷見のブリを江戸へ送るように指示した古文書が残っている。また昔は、塩漬けにした越中ブリを高山市から野麦峠を越えて信州まで運んでいた。信州ではこの塩ブリのことを「飛騨ブリ」と呼び、海から遠く離れた山里にもかかわらず、正月料理には欠かせない食材であった。
《ブリ料理について》
●料理旅館・誉一山荘
〒935-0021 富山県氷見市幸町14-34
TEL 0766-74-0041
《ブリについて》
●富山県水産試験場
〒936-0011 滑川市高塚364
TEL 0764-75-0036(代)