日本酒の原料である酒米が洋菓子のクッキーになった−−。氷見市の新しい特産銘菓として、この11月からお目見えした「Ｌａ　ｂｒｉｓｅ〜あいの風」がそれである。
　氷見市では平成６年から、商工会議所が中心となって、純米大吟醸「大敷網」と大吟醸「鰤（ぶり）起こし」という地酒造りに取り組んできた。酒米づくりから醸造まで、すべて地元にこだわった酒造りをしようということで、酒米となるうるち米も地元の田で育成したものだ。しかし、酒造りでは50％に精米するため、せっかくの地元産の酒米も半分がムダになってしまう。そこで、精米の際に出る酒米の粉をなんとか利用できないかと模索していたところ、市内菓子店・三国屋の開発によって酒米クッキーが誕生した。
　うるち米は饅頭、団子など和菓子にはすでに使われているので、これまでにない新しいものをと、洋菓子に挑戦。まずはスポンジケーキに使用してみたが、粉の性質上ソフトに焼き上がらず失敗。次に試したクッキー類も、固すぎて洋風せんべいとしか呼べないものばかりとなった。そこで、生地を浮き上がらせるため、パイのように何層にも重ねて焼いてみると、サクサクとした歯ざわりに仕上がり、ようやく商品化への手ごたえをつかんだ。
　こうして約１年ががりで出来上がった酒米スティック・クッキーは、砂糖などの甘味料は使用せず、酒米が持つ天然の甘みとバターの風味を活かした生地に、トッピングで香りと塩味をきかせたのが特徴。トッピングは昆布・しそ・ごま・ナッツ・チーズ・パプリカの６種類が揃っており、いずれもコーヒー、紅茶はもちろん、ビールやワイン、そして日本酒にも合う味である。１袋５本入り６袋詰め合わせで価格は880円。
　なお、商品名の「あいの風」とは、万葉歌人・大伴家持の歌にも詠み込まれているほど古くから使われている言葉で、北東から吹く風の意。氷見ではちょうど海から吹く風に当たり、“あいの風が吹くと豊漁”といわれるところから、幸せを呼ぶ風という意味でもある。

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●三國屋
〒935 氷見市幸町23-17
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