富山県大門町のメリヤス製造業（株）高岡機業場は、体の不自由な人や老人などがプールで利用できる水に浮くベスト（水泳補助用具）を全国で初めて開発した。
　同ベストは、水着地の中に厚さ２cm・浮力40kgの発泡エチレン・ボードを入れたもの。このボードは柔らかく伸縮性があるため、ベストは体に吸い付くように密着する。そのため、救命胴衣に比べて水中で自由に動くことができるうえ、脱げる心配もほとんどない。しかもボードは３枚重ね構造となっており、枚数の増減で浮力を調節できる。この水に浮くベストは、実用新案許可も出ている。
　試着を行った養護学校の生徒は、車いすの生活をしており、水泳は大切な全身運動になっている。これまでビート板などを体にくくりつけて泳いでいたが、体から外れて危険なために、１人の生徒に２、３人の補助が必要だった。このベストを着用すれば、体から外れる心配もないため、１人の補助で充分に対応できる。
　（株）高岡機業場の片口隆一社長は、「試着では緊張ぎみの生徒たちも、しばらくすると表情が明るくなって笑顔が出るようになってきました。そのときは本当に作ってよかったと思いましたね。」と話す。
　現在、大人・子供用各３サイズが用意され、９月に石川県で開かれる「バリアフリー機器展石川'97」に出品した後、スポーツ用品店などを通して販売していくことにしている。

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●株式会社高岡機業場
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