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2001年 12月 20日 [ 特産品 ]
No.085-5:雪国ならではの和紙の技法を後世に伝える
●正倉院の古文書にもその名が残る越中和紙
富山県内の3つの産地[八尾町、五箇山、朝日町蛭谷(びるだん)]で漉(す)かれる和紙は「越中和紙」と総称され、上質な仕上げと美しさで人気を得ている。この越中和紙の伝統を後世に伝えようと、富山県和紙協同組合(八尾町鏡町、山口昭次理事長)では、各産地の歴史や伝統技法などを記録したビデオ(45 分)を制作した。
越中和紙は、正倉院に残る古文書、図書寮解に「越中国紙四百枚」と記されているほど歴史は古く、また、雪国ならではの技法が今日まで伝えられてきた。
ビデオでは、奈良・平安時代から江戸時代までの古文書に残された越中和紙の記述や、明治から昭和にかけての越中和紙の歴史などを紹介。また、楮(コウゾ)の煮かた、アク抜きの方法など昔ながらの作り方が映像で再現されている。特に、雪の上に楮の皮を並べて漂白する雪晒しという方法や、かつて売薬の薬袋紙に使われていた朱の染料の紹介、リズミカルな手漉き風景の映像は興味深い。
組合では、手漉きによる独特な風合い、加工品の魅力など越中和紙の素晴らしさを広く紹介し、後継者育成につなげたいとしている。
●和紙加工品は観光の土産品として人気
おわら風の盆で知られる八尾町に伝わる八尾和紙は、江戸時代、配置売薬に用いられた薬袋紙を漉き、“八尾山村千軒、紙を漉かざる家なし”とまで謳われたほどの歴史を持つ。加賀二代藩主前田利長に中折紙二十束を献上したという古文書が残る五箇山では、合掌造り家屋のなかで半紙や中折紙などを漉き、加賀地方に供給してきた。富山県の東端、朝日岳の山麓で漉かれる蛭谷和紙は、木地師が伝えたといわれ、明治末から大正にかけて百軒余りと村のほとんでの家で紙が漉かれていたと伝えられる。
各生産地では戦後のライフスタイルの変化、洋紙の進出などにより、和紙漉きの人口は急速に減少し、富山県和紙協同組合に加盟する製造業者は10工房にすぎない。しかし、近年、手漉き和紙の良さが見直され、美術工芸品として、また便箋や封筒、染紙などの日常生活品として、上質な仕上げと美しさが好評を得ている。各産地では、人形や文書箱、袋もの、民芸品などの和紙加工品も観光の土産品として人気がある。
なお、越中和紙の魅力を紹介した今回のビデオは、東京の伝統工芸振興協会や組合加盟の県内製造業者に配布された。興味のある方にはテープのダビングも受け付ける。
問い合わせ
●富山県和紙協同組合
TEL(076)455-1818