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2004年 2月 11日 [ トピックス ]

No.135-4:米糠の錠剤で特許を取得


●ミジンコ、ヤゴ、メダカなどの水生生物に優しい水稲栽培を

 雑草の生育を抑制する効果を持つ米糠を使って、土壌づくりや米の品質と食味の向上、水生生物保護などを図る水稲栽培技術が近年、注目を集めている。そんななか、富山県立中央農業高等学校と富山化学工業(株)は、米糠を錠剤にした「米糠圧縮成型物」を共同開発し、特許(特許権者:富山県、富山化学工業 (株))を取得した。
 水田に米糠をまけば、微生物やウキクサ類が急激に増え、土壌表面が強還元状態になったり、光が遮られたりすることなどによって、雑草が生えにくくなるとされている。同校では米糠のこの抑草効果に着目し、1998年から農業科作物専攻の3年生が「課題研究」の授業で研究を始めた。担当の先生と生徒が試験を重ねていくうちに、米糠を粉状で水田に散布すると風や水などの影響を受けやすく、水面に浮いたり流されたりするために抑草効果に偏りを生じることがわかった。また、水が濁って酸欠になり、ミジンコなどの水生生物に負荷をかけるなどの問題点も浮かび上がってきた。
 そこで機械でまんべんなく水田に散布でき、水質も損なわないようにできないかと考え、2001年から同工業(株)と共同研究を始め、米糠と含水二酸化硅素などを混ぜ合わせて錠剤にした米糠圧縮成型物(1粒:重さ320mg〜350mg、直径9.5mm)が誕生した。特徴は、多孔質で沈降性の高い珪酸と一緒に米糠の油分が水田に沈み、土壌表面に広がる点で、このため油分が水面に浮かぶことも少なく、水質の汚染や水生生物への影響も少ないというデータが得られている。


●夏休み返上で観察やデータを収集

 歴代の農業科作物専攻の3年生は、夏休みなどを返上し、試験田で観察やデータ収集を重ねてきた。米糠の適切な使用量や使用時期を調べたり、稲や雑草の生育調査、水質調査などを行ったりと、地道な活動が米糠圧縮成型物の誕生につながったようだ。米糠を使った水田で収穫された米は、一等米比率が高く、食味も良好。毎年11月初めに学校内で催されている米や野菜などの即売会では、一般の消費者から大人気となっている。
 今後は米糠圧縮成型物を活用し、抑草メカニズムの解明と水稲栽培技術の確立に向けて研究を進めていく予定だ。
 安心・安全な食料の生産、農薬・化学肥料に頼らない有機栽培など、環境にやさしい環境保全型農業が求められる時代、米糠圧縮成型物を活用した生徒たちの今後の活躍に期待が高まっている。

問い合わせ
●富山県立中央農業高等学校
TEL.076-483-1911

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