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2004年 12月 1日 [ トピックス ]
No.172-2:新薬開発に「とやま治験医療ネットワーク」の活用を
●医療の質の向上というメリット
300年以上の伝統をもつ「くすりの富山」をバックボーンに、今年度中の稼動を目指して「とやま治験【ちけん】医療ネットワーク」の整備が進められている。“治験”とは、新しい医薬品の承認審査用に必要な科学的実証データを集める臨床試験のことで、健常者や患者らの協力を得て、実際に薬を投与し、その有効性や安全性を確認する仕組みがとられている。ただし、国内での治験はコストが高く、時間もかかるため、海外で治験を行う製薬メーカーが増えているのが現状だ。
そこで富山県では、製薬メーカーが県内の医療機関で治験を実施しやすくするためのネットワークを構築しようというわけだ。行政や医師会が協力して、病院・診療所を県内全域でネットワーク化する試みは全国で初めて。
治験推進のメリットとして、医療機関にとっては新医薬品の開発や新しい治療法などについての最新の情報・技術を入手することができる。また、病院内体制の活性化や病診連携を通じ、質の高い医療の提供が可能となる。被験者にとっては、国外で承認されているが、国内未承認の抗がん剤投与など、身近で先進医療を受けることが可能となる。県内医薬品メーカーにとっては医薬品開発の促進につながるだろう。
ネットワークで受け入れる臨床試験として、新薬や新投与経路、新剤型の治験をはじめ、ジェネリック医薬品、スイッチOTC、保健機能食品など、さまざまな臨床試験を幅広く受け入れる予定だ。
ネットワークの拠点となるのが9月に県医師会館内に開設された「とやま治験支援センター」。製薬メーカーと医療機関の間にたち、治験にふさわしい病気の患者がいる病院を製薬メーカーに紹介したり、治験の実務を支えるコーディネーターの病院への派遣を支援したりする。来年2月ごろからの治験受け入れを目指し、ネットワークへの参加を医療機関に呼び掛けている。
県くすり政策課では、「県内外の製薬メーカーにネットワークを活用してもらい、くすりの富山から新薬を誕生させてほしい」と話している。
「とやま治験医療ネットワーク」の整備が進むなか、新薬の開発を支援する開発業務受託機関(CRO)の設立に向けた研究会を県、県内医薬品メーカー、富山医科薬科大学の関係者が10月に立ち上げたことにも注目したい。CROは、製薬メーカーから業務を委託され、治験を受け入れる医療機関探しや治験データの収集や解析処理などの業務を担当する機関。研究会では今後、ベンチャー企業設立に向けた課題や見通しなどを探る。
●富山県薬業連合会、遼寧省と上海市へ「中国医薬品事情調査団」派遣
富山県薬業連合会は、11月8日(月)から13日(土)まで、「中国医薬品事情調査団」を中国東北部の遼寧省瀋陽・大連と上海市へ派遣した。富山のくすりの販路拡大はもちろんだが、中国製薬業界と交流を深めることで富山の薬業界の活性化を図ることが目的。調査団に参加したのは配置薬メーカーなど10社で、遼寧省経済委員会医薬品弁公室・上海市食品薬品監督管理局訪問をはじめ、日系製薬メーカーや中国製薬メーカーの工場、街なかのドラッグストアなどを見学し、中国における医薬品の製造・販売の規制の実態や、製薬・販売、流通の状況を調査。ドラッグストアでは、漢方生薬や一般薬、健康食品などが所狭しと並べられた店内を見学し、2桁成長が続いているといわれる中国医薬品市場の活況ぶりを目の当りにした。
今回の調査は、富山との薬による交流に期待する中国側の声を直に聞ける機会となったようだ。富山県と遼寧省は今年友好県省20周年を迎え、大連には富山県事務所が開設されている。薬業分野でも一層の交流拡大が期待されている。
問い合わせ
●富山県厚生部くすり政策課
TEL.076-444-3237
FAX.076-444-3498