特産品

アーカイブ

2012年 3月 7日 [ 特産品 ]

No.547-1:野球ファン必見!福光に「南砺バットミュージアム」新装オープン

全国一の木製バットの生産地・南砺市福光地域に「南砺バットミュージアム」がオープン。往年のプロ野球選手らの約500本のバットを展示する。地元バット工場と連携した産業観光を推進し、地域活性化を目指す。


●プロ野球OB、現役のバット500本

 野球シーズン間近。開幕に向けて、胸を躍らせている野球ファンも多いことだろう。野球といえば、ボールとバット、グローブ。富山県南西部に位置する南砺市福光地域は全国一の木製バットの生産地。このほど、往年のプロ野球選手らの約500本のバットを展示する「南砺バットミュージアム」がオープンした。地元バット工場と連携した産業観光を推進し、地域活性化を目指す。

 南砺バットミュージアムは、福光地域・中心商店街の空き店舗を利用して開館した。中に入ると、木製硬式野球バットがずらり。木のいい香りがしてくる。バットは、南砺市野球協会会長の嶋信一さんのコレクションだ。2006年に廃業した老舗のバット工場の倉庫に眠っていたバットを嶋さんが引き取り、1本1本丁寧に拭いてきれいにした。バット1本の重さは920~930gあり、拭くだけでも大変な作業だった。そして、誰のバットなのかを確認し、選手の名前や出身地、生年月日、使用時の所属球団、プロフィールなども調べてラベルを作った。整理するだけで1年半ほどかかったという。

 館内には、王貞治氏をはじめ、田淵幸一氏、原辰徳氏、篠塚利夫(篠塚和典)氏、落合博満氏、金本知憲氏らプロ野球OB、現役のバットが所狭しと並ぶ。タイ・カップ、ルー・ゲーリックといったメジャーリーグの有名選手、オリックス時代のイチロー選手のものもある。一部のバットは手にして、重みや感触を確かめたり、スイングしたりすることもできる。

 バットは半数ほどが福光地域で作られたもので、選手が実際に使用したものが中心。注文の見本として、「グリップを細く」、「ヘッドを太く」など、選手からの要望を書き入れた貴重なものもあり、見ていると時間の経つのも忘れてしまうほどだ。このほか、プロ野球グッズや、バット生産の歴史や工程を解説したパネルなども展示されている。

●どんなドラマがあったのか、バットから想像する楽しさ

 福光地域のバット産業は大正時代後期に始まり、1960年代の野球ブームに乗り、全国有数の木製バット生産地となった。同地域で木工産業が盛んだったことが背景にある。現在、製造業者は5社。生産量は全国シェアの約6割を占め、年間20万本ほどになる。素材はかつて日本原産種のトネリコが主流だったが、原木の枯渇が深刻になり、戦後、輸入もののホワイトアッシュ、メープル、アオダモなどが使用されるようになった。

 ミュージアムは、産業観光の窓口にもなる。バットを製造しているエスオースポーツ工業と連携し、バット作りの見学の申込みをミュージアムでも受け付けるようになった。嶋館長は、ロクロで削られる木を眺めていると、新しく作られるこのバットからどんなヒットやホームランが出るか、わくわくするという。嶋館長自身、若い頃にグラウンドで汗を流し、少年野球や中学、大学野球での監督経験もある。長年、野球に携わり、次代を担う子どもたちにもっと野球を楽しんでほしいと願う。

 嶋館長は、「2年前に南砺市井波地域に開館したが、木製バットの生産地・福光地域の住民の方々の要望もあり、移転オープンした。約500本を展示する施設は国内でも珍しい。バットは戦場での刀のような存在。誰と誰が対戦し、どんなドラマを繰り広げたのかを思い浮かべながら、バットを眺めるのも楽しい。特に少年野球の子どもたちに夢を与えたい」と話している。

▲バットの感触を確かめる嶋館長


問い合わせ
●南砺バットミュージアム
福光商店街 東会館2階・3階(南砺市福光6754)
TEL.0763-52-0576
FAX.0763-52-3765
<入館料>大人500円、小中学生200円
<開館>午前10時~午後5時(水曜休館)

コメント

その他の特産品

ページの先頭へもどる↑