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- No.562-2:本物志向の大人の文具―富山発の成形技術と匠の技が光る木質系100%の高級朱肉ケース
2012年 6月 27日 [ 特産品 ]
No.562-2:本物志向の大人の文具―富山発の成形技術と匠の技が光る木質系100%の高級朱肉ケース
重厚感のある漆黒に青貝塗の神秘的な色合い――。富山県農林水産総合技術センター木材研究所(射水市)と文具事務用品の大手、シヤチハタ(株)(本社:名古屋市)は、県産の竹粉(モウソウチク)とスギ間伐材の木粉を使った木質系100%製品を成形する技術を開発し、伝統工芸・高岡漆器の加飾技法・螺鈿細工(青貝塗)を施した高級朱肉ケースを商品化。“大人の高級文具”としてPRを始めた。自然の恵みを感じる新エコ素材と優雅な輝きを放つ青貝塗で心も豊かに――。
●優雅で神秘的な輝き、高岡漆器の螺鈿細工を活かす
富山県農林水産総合技術センター木材研究所(射水市)と文具事務用品の大手、シヤチハタ(株)(本社:名古屋市)は、県産の竹粉(モウソウチク)とスギ間伐材の木粉を使った木質系100%製品を成形する技術を開発し、伝統工芸・高岡漆器の加飾技法・螺鈿細工(青貝塗)を施した高級朱肉ケースを商品化。“大人の高級文具”としてPRを始めた。自然の恵みを感じる新エコ素材と優雅な輝きを放つ青貝塗で心も豊かに――。
木材研究所では、竹の繊維質やしなやかさに着目。スギの木粉と混ぜ合わせ、高温高圧化など特殊な方法で処理することで、さまざまな製品形状に成形できる技術の開発に成功した。石油系プラスチックや接着剤を一切使用せず成形する技術は全国初。木の素材でありながら、工業製品のように常に一定の大きさ、形に成形できる。耐熱性があり、変形しにくく、重みも感じられる。また、高岡漆器の技術を活かした点も大きな特徴で、伝統産業の活性化、未利用木質資源の有効活用にも期待が高まっている。
県西部森林組合(砺波市)の工場で竹粉とスギの木粉を製造し、シヤチハタの工場で成形した朱肉ケースに高岡漆器の職人が何度も漆を塗り、螺鈿細工を施す。図柄は、花鳥紋(花と鳥を描いた模様)、うろこ紋(三角形の連続模様)、七宝紋(4つの紡錐形が集まって外側が円を成した模様)の3種類。サイズは直径67mm、高さ27mmで、重量約80g、桐箱入り。
高岡漆器は、江戸時代初期から400年以上の歴史と伝統を持ち、国の伝統的工芸品に指定されている。一般的に貝を用いた加飾技法を「螺鈿(らでん)」というが、高岡漆器では薄く削った貝(あわび貝、夜光貝など)を用いることで、下地の黒い漆が透けて貝の青さが際立って見えることから「青貝塗」と呼ばれるようになったとされる。
朱肉ケースは、重厚感のある漆黒に青貝塗の神秘的な色合い、風合いが魅力的。机の上に置きたくなる大人の逸品だ。仕上げは、漆塗りと螺鈿細工の職人が役割分担する。熟練の伝統工芸士や女性伝統工芸士が丁寧に制作していく。近年、伝統工芸の世界では販売額が減少し、高岡漆器でも職人の数が減少し、伝統の技の継承が問題になっている。木材研究所では、高岡漆器の知名度アップ、伝統産業の活性化につながってほしいと、朱肉ケースに期待を込めている。
●朱肉ケース以外の用途、製品デザインを検討
木材研究所では、量産化に向けた技術検討を進めており、今後朱肉ケース以外の製品形状やデザインも考案していく。シヤチハタとの共同出願で、特許も取得する予定。原材料であるスギ木粉の供給体制の整備は昨年度に完了しており、今後、竹粉の安定供給に向けた整備を進める。来年度にも県内企業と協力し、木質系100%成形製品の製造拠点を整備していく考えだ。
なお、朱肉には、高級有機顔料が使用されており、印影の保存性、鮮明性に優れ、にじみもほとんどないため、公文書など重要書類の捺印にも適している。鉛、水銀、カドミウムなどの重金属を含有しておらず、環境汚染や人体への安全性にも配慮されている。
朱肉ケースは、県が認定したベンチャー企業などが生産する新商品を、県が試し買いし、使用後の意見をフィードバックする「県トライアル発注商品」に認定されている。価格は、螺鈿装飾付き仕様が18,900円。完全受注生産で、納期は約2カ月。シヤチハタのブランドで販売され、デザイン&プロデュースを手掛ける(株)テフカデザインズ(高岡市)のホームページで購入できる。漆塗り無地仕様もあり、こちらは15,750円。
富山県農林水産総合技術センター木材研究所では、「県内の木質資源、新技術、伝統工芸の技を組み合わせた富山発の新商品。本物志向の強い大人の高級文具としてPRしていく。朱肉ケース以外の用途、製品デザインを検討し、今後、木質系100%成形製品の製造拠点の整備につなげたい」と話している。
問い合わせ
●富山県農林水産総合技術センター木材研究所
TEL.0766-56-2915
FAX.0766-56-2816
http://tulip.agri.pref.toyama.jp/nsgc/mokuzai/