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2008年 11月 26日 [ 特産品 ]

No.380-2:南砺の風物詩、富山干柿の生産、最盛期


 竹竿にずらりと吊された橙色の“三社柿”が陽光を受けて輝く--。南砺市・福光、城端地方の風物詩、干柿づくりが最盛期を迎えている。11月30日(日)から集荷作業が始まり、12月初めから県内外の店頭に並ぶ予定だ。

●赤みを帯びたあめ色の干柿はコクのある甘みが特徴

 竹竿にずらりと吊された橙色の“三社柿(さんじゃがき)”が陽光を受けて輝く--。南砺市・福光、城端地方の風物詩、干柿づくりが最盛期を迎えている。11月30日(日)から集荷作業が始まり、12月初めから県内外の店頭に並ぶ予定だ。

 干柿づくりは、慶長年間(1596~1614)に美濃国から伝わったとされている。福光地方の南西にそびえる医王山(いおうぜん)から、晩秋から冬にかけて吹き下ろす冷たい風が干柿づくりの環境に適していたことからこの地で盛んに行われるようになったようだ。現在、259軒の農家が富山干柿出荷組合連合会に加入し、12月から1月にかけて、お歳暮や正月の贈答品向けに、約600万個を全国に出荷する。

 干柿づくりに使用されるのは、“三社柿”と呼ばれる渋柿で、干すと渋みが抜け、甘みが出る。果実の重量は1個250g~400gで、砲弾のような形が印象的だ。生産農家では、10月末から11月下旬にかけて収穫、へた取り、皮むき、糸でつないだ吊りだし、硫黄燻蒸、天日干しなどの作業を行う。その後、練炭室や日陰での乾燥を繰り返し、渋みを抜いていく。余分な水分を抜き、甘みを出すための手揉みの作業も重要。1個1個、丁寧に手で揉んでいく様子はわが子を愛おしむかのようだ。収穫から出来上がりまで約1ヵ月。出荷間近の干柿は、赤みを帯びたあめ色で、表面には果糖の結晶である白い粉がふきでる。

 今年は8月に適度に雨が降ったため空気が乾燥せず、9、10月には台風の影響がなく好天が続いたことから三社柿の生育もよかった。最近の気候は朝、日中、晩に寒暖の差があることから、色づきがよく、コクのある甘みをもつ干柿が期待できそうだ。また、近年では、三社柿を完全に乾燥させずに仕上げた「あんぽ柿」もつくられている。干柿よりも水分が多く、やわらかな食感と甘みが特徴。干柿と食べ比べしてみるのもいいだろう。

●全農家がエコファーマーに認定

 食の安全性が厳しく問われるなか、安全・安心な食品を消費者に届け、富山干柿のブランド力を高めようと、富山干柿出荷組合連合会の農家259人全員が今秋、富山県からエコファーマーの認定を受けた。エコファーマーの制度は、「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律(持続農業法)」に基づき、化学肥料・農薬の使用低減など、環境に優しい農業に取り組む農家を都道府県知事が認定するものだ。

 干柿づくりに携わる生産農家では、今年春のカキ畑の土壌調査の分析結果をもとに化学肥料、農薬を減らし、たい肥を活用した土づくりの推進を目指すという。たとえば、鶏糞の使用や剪定したカキの枝をチップ状にしてカキ畑に戻すなど環境に配慮しながら、品質の高い三社柿を育て、干柿を生産していく。

 富山干柿出荷組合連合会の鵜野伊光会長は「今年は、例年になく、いい天候に恵まれ、品質の高い干柿を出荷できそうです。近年、富山干柿は市場で高い評価を受け、東京・新宿の百貨店などでは高級品として扱われています。生産者としては喜ばしい限りです。これからも環境に配慮した農業で、美味しい干柿を毎年安定供給していきたい。干柿は食物繊維やビタミンCを多く含んだ健康食品。二日酔いなども防いでくれます。お歳暮や正月の贈答品としてお使いください」と話している。



問い合わせ
●富山干柿出荷組合連合会
TEL.0763-52-0078
FAX.0763-52-0077

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