「高岡銅器」と「高岡仏具」が、地域名と商品・サービス名を組み合わせた「地域団体商標(地域ブランド)」にそれぞれ登録された。高岡は、全国に知られる“ものづくりの町”。約400年前に産業振興として鋳物の技術が根づき、高岡銅器に発展。現在、茶器や花器、仏具から梵鐘まで数多くの製品が製造、販売されている。

●高岡の地場産業の活性化を目指す

　「高岡銅器」と「高岡仏具」が、地域名と商品・サービス名を組み合わせた「地域団体商標(地域ブランド)」にそれぞれ登録された。地域団体商標は、平成18年の商標法の改正によって、特許庁が導入した制度。それまで地域名を冠した商品の商標登録は全国的な知名度を持つものに限られていたが、地域産業の活性化や商品名の不正使用防止のために、隣接する都道府県での認知が確認できれば、地域団体商標としての登録が認められるようになった。「高岡銅器」は平成18年12月に伝統工芸高岡銅器振興協同組合(元井實理事長)と高岡銅器協同組合(松永彰理事長) 、「高岡仏具」は平成19年1月に高岡仏具卸業協同組合(山本文夫理事長)が特許庁に出願していた。県内では、「入善ジャンボ西瓜」、「黒部米」がすでに地域ブランドに登録されている。

　高岡は、全国に知られる“ものづくりの町”。加賀藩二代藩主前田利長公が慶長14年(1609)、高岡の町を開いたときに、町発展のための産業振興策として、城下に鋳物師を呼び寄せたことから鋳物の技術が根づいた。その技術は高岡銅器へと発展し、現在、高岡では茶器や花器、仏具から梵鐘まで数多くの製品が製造、販売されている。

　製造業や卸業、着色業、彫金業など約290事業所が加盟する伝統工芸高岡銅器振興協同組合では、「高岡銅器」の地域団体商標の登録によって、さらなる産地ブランド力の向上と他産地製品との差別化を目指す考えだ。従事者の高齢化や後継者不足、原材料の高騰など、近年、高岡銅器を取り巻く環境は厳しさを増しているが、これらに対応するため、同組合では、産地のイメージ向上や後継者育成、展示会・見本市などでの販売促進、新商品開発などに積極的に取り組んでいる。平成19年度は「香りの調度」をコンセプトに、新商品・新技術開発を行っており、今後の市場開拓が期待されている。

　同組合では、平成18年から高岡市でスタートした「ものづくり・デザイン科人材育成特区事業」へ講師を派遣していることも注目すべき点だ。この事業は、市内の小学校(5・6年生対象)、中学校(1年生対象)、養護学校など全40校を対象に、年間35時間のものづくり実習を行うもの。市の派遣要請を受け、組合員が高岡地域地場産業センターや市内工房、依頼校などで講師を務め、児童・生徒への実習指導を行っている。子どもたちにものづくりの世界に触れ、興味を高めてもらうことで、将来の後継者育成につながることを組合員は期待しているという。

　伝統工芸高岡銅器振興協同組合では、「地域団体商標の登録によって商品名の不正使用を差し止めることができるなど、産地のイメージ向上が図れる。高岡銅器のブランドをよりPRし、業界の活性化につなげていきたい。組合では伝統工芸士の認定事業などにも力を入れ、伝統的技術・技法の継承を図っている」と話している。

　なお、「伝統的工芸品展　WAZA2008」＜主催：(財)伝統的工芸品産業振興協会＞が2月28日(木)〜3月4日(火)、東京・東武百貨店池袋店にて催される。高岡銅器の作品も出展されるので、受け継がれてきた伝統の技を堪能してほしい。

●ブランド力の向上と販路拡大へ

　高岡銅器の伝統の技が生きる高岡仏具は、金物仏具の国内シェアの9割を誇る。香炉や花立てなど、仏壇の中に置く金物はほとんどが高岡で製造されているといっても過言ではない。全国の仏壇・仏具店などに販路を持ち、高岡仏具卸業協同組合に加盟する31事業所で年間80億円近くを売り上げる。同組合では、平成11年に高岡仏具のマークを商標登録し、ポスターやシールなどを作製して、PRに努めてきた。近年では、高岡短期大学(現在の富山大学芸術文化学部)との産学連携で、蓮をモチーフにした三具足(花立、火立、香炉)を商品化するなど、和から洋への生活様式の変化、仏壇の小型化などに対応した新しいデザインの仏具開発などにも取り組んでいる。

　高岡仏具卸業協同組合では「ご先祖さまを崇拝する気持ちがある限り、仏壇や仏具はなくなることはない。これからも高岡仏具のブランド力に磨きをかけ、一層の販路拡大につなげていきたい」と話している。



問い合わせ
「高岡銅器」について
●伝統工芸高岡銅器振興協同組合
TEL.0766-24-8565
FAX.0766-26-0875

「高岡仏具」について
●高岡仏具卸業協同組合
TEL＆FAX.0766-24-3383