■昆布の食文化を育む富山で新食品開発
　北前船交易で北海道の昆布を各地に運ぶ中継地であった富山には、昆布をふんだんに使った郷土料理が多い。白身魚の刺し身を昆布にはさむ「昆布じめ刺し身」、ニシンを昆布で何重にも巻いて煮る「昆布巻」、すり身を昆布で巻いて蒸しあげる「昆布巻かまぼこ」。富山の食文化の一端を担ってきた昆布は、富山の人の舌になじみ、その消費量は全国でもトップクラスだ。そんな土地柄の富山で、昆布をつなぎや添加物を使わずに麺に仕上げた、昆布100％の麺という画期的な食品が開発された。

■昆布の栄養そのままのヘルシー麺
　昆布100％の麺「シー・ヌードル」を製造販売する（株）梅かまは、富山市のかまぼこ会社。これまで昆布かまばこの製造に使用されるのは幅広の昆布の中央部分だけで、「耳」と呼ばれる両端の部分は使っていなかった。昆布麺はその有効活用をと開発されたもので、魚のすり身をそうめんのように細くしお吸い物の具として入れることにヒントを得て作られた。富山県食品研究所、製造機械メーカーとともに、昆布を麺にする技術の開発に取り組み、約１年がかりで商品化にこぎつけた。
　昆布をペースト状にする際に醸造酢を、麺に固めるために卵殻カルシウムをそれぞれ加工助剤として使うが、原材料はあくまでも昆布100％。ミネラル、ビタミン、カルシウム、食物繊維など、昆布の栄養成分が凝縮された、ノンカロリー、低脂肪のヘルシー麺だ。

■手軽に使え、多彩な料理に
　「シー・ヌードル」は、もずくのようにちぢれており、水または熱湯で洗うだけで食べられる。冷たい麺つゆでざるそば風にしてよし、温かいつゆをかけたかけそば風も美味。その他、すき焼き、水炊きといった鍋物の具に加えたり、スパゲティ・ミートソース風に炒めたりと、いろいろな料理に利用できる。
健康食ブーム、ダイエットブームのなかで、さまざまに活用できる新食材として定着させたいと、梅かまでは意気込んでいる。120g入り１袋170円。同じ製法でわかめの葉茎部を麺に仕上げた、わかめ100％の「シー・ヌードルわかめ」もある。

●株式会社　梅かま
〒939-3552 富山県富山市水橋肘崎482-8
TEL 0764-79-1853