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2019年 1月 30日 [ トピックス ]
No.892:富山のシンボル、立山を知る解説書『入門!立山ワールドあんない』
●キャラクターと一緒に立山について学ぼう
「立山」をテーマに、自然と人とのかかわりから生まれた歴史や文化を紹介する富山県[立山博物館]。立山の歴史や立山信仰について、「もっと学びたい」、「読みやすい本がほしい」といった声に応え、『入門!立山ワールドあんない』を初めて刊行した。これまで同館では、立山登山を行う県内の小学校を中心に、事前学習として学芸員が出向いて「出前講座」を行ってきた。その経験を生かし、キャラクターが読み手に語りかけながら要点を説明したり、写真・イラストを多用したりするなど、専門的な内容をかみくだいた、分かりやすい内容となっているのが特徴だ。
表紙には、どことなくユーモラスな閻魔さま、くま仏くん、おんばさま、有頼くん、タカ丸といったキャラクターが登場し、立山ワールドへと誘う。頁をめくると、「呉羽丘陵から望む立山連峰」、「大伴家持が詠んだ“立山”」、「立山を開いた人はだれ?―立山開山伝説」「徳川ブランドの立山曼荼羅」、「女性救済の方法」など25のテーマ分けになっている。
●立山曼荼羅の解説に理解深まる
「立山を開いた人はだれ?―立山開山伝説」では、立山開山伝説を解説。江戸時代の書物『和漢三才図会』や、芦峅寺・岩峅寺の縁起には「佐伯有頼(さえきありより)」が立山を開き、「慈興上人(じこうしょうにん)」と名乗ったと紹介している。白鷹を追って山に分け入り、現れた熊の胸を矢で射抜き、玉殿の岩屋といわれる洞窟まで追いつめた有頼。そこで見たのは黄金色に輝く、阿弥陀如来。胸に矢が刺さり、血が流れている。「熊に姿を変えて、お前をここまで導いてきたのだ。立山への道を開き、どうか人々にこの立山へ登らせ、仏への道を成就させて欲しい」と命じたという。
立山信仰の布教に使われた絵図「立山曼荼羅」の解説も興味深い。「徳川ブランドの立山曼荼羅」では、第14代将軍・徳川家茂の夫人で、孝明天皇の妹である皇女・和宮の寄附を示す「静寛院宮御寄附」の金色の識札がある「立山曼荼羅」(吉祥坊本)を紹介している。
「立山曼荼羅・大解剖!! 2.立山地獄」では、鬼によって舌を抜かれる、大釜で煮られるなど、立山曼荼羅に描かれた立山山中のさまざまな地獄をクローズアップ。阿鼻叫喚の地獄絵図に誰もが恐怖をおぼえるだろう。立山曼荼羅には、血の池地獄や石女地獄(不産女地獄)など、女性だけが堕ちる地獄も描かれている。また、女人禁制により立山へ登ることがかなわなかった女人救済のための法会(ほうえ)である「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」の解説もある。
立山博物館のミュージアムショップで1冊500円(税込み)で販売しているほか、電話またはホームページからメールで問い合わせの上、郵送もできる(送料別途)。
●冬の立山曼荼羅特別公開展もぜひチェックを
冬の立山曼荼羅特別公開展「立山曼荼羅と立山登拝道」<2019年2月24日(日)まで>では、立山登拝道に焦点を当て、道のりの中にあった名所を紹介している。展示の「立山曼荼羅 大仙坊B本」では、立山へ禅定登拝する禅定人が、岩峅寺、芦峅寺集落、閻魔堂などから、藤橋、材木坂、獅子が鼻、室堂を通り、立山へ向かう様子や、女人禁制の山に登ろうとした女性が姿を変えられたという美女杉などの名所をめぐりながら登っている様子が描かれていて分かりやすい。「立山曼荼羅 立山博物館E本」は、岩峅寺系の木版立山登山案内図をもとに制作されたものとみられ、岩峅寺の大鳥居から立山への登拝道をはじめ、玉殿の岩屋に仏が出現したことを示す「蓮台」、地獄谷に畜生道を示す動物なども描かれている。「立山登山案内図(山絵図)」は岩峅寺と芦峅寺の宿坊の主人が制作したもので、立山の名所と場所が記されている。
立山博物館では、「ぜひ、『入門!立山ワールドあんない』を立山を知る参考書、自由研究の材料に活用してほしいです。そして、子どもたちに立山の歴史、文化を学んでもらい、立山をより好きになってほしいですね。また、冬の立山曼荼羅特別公開展では曼荼羅に描かれた“立山の見所”を関連資料とともに紹介しています。ぜひご来館ください」と話している。
- 問合せ
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●富山県[立山博物館]
TEL.076-481-1216
FAX.076-481-1144
http://www.pref.toyama.jp/branches/3043/3043.htm