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2021年 10月 27日 [ トピックス ]

No.1020:太宰ファン必見!企画展「太宰 治 創作の舞台裏 展」、10月30日開幕

晩秋、読書の秋……。高志の国文学館(富山市舟橋南町)で企画展「太宰 治 創作の舞台裏 展」<10月30日(土)~12月20日(月)>、富山県ゆかりの文学者や偉人について学ぶ「大伴家持文学賞記念講座」が開催される。富山県芸術文化協会(富山市舟橋北町)主催の「とやまを描くエッセイ」の募集についても併せて紹介しよう。

●人間の弱さを見据えた太宰文学


▲「太宰 治 創作の舞台裏 展」のポスター
<写真提供:日本近代文学館>


▲「人間失格」原稿
(所蔵:日本近代文学館)(左)
▲「お伽草紙」原稿
(所蔵:日本近代文学館)(中央)
▲「自画像」(所蔵:三鷹市〈津島家寄託〉)(右)

独特のささやくような語りの文体で若い読者を捉えている太宰文学。『走れメロス』『斜陽』『お伽草紙』『富嶽百景』『トカトントン』が教科書に採用されるなど、太宰治は若い世代にも広く知られる、最も人気のある作家のひとりといえる。企画展の導入展示では、太宰の代表作を「太宰文学入門・太宰文学再入門」、家庭的な作品にスポットをあてた「新たな太宰作品との出会い」の2つの展示。太宰の文学世界をイメージ豊かな写真パネルで紹介する。

近年発見されたノート、原稿、草稿、写真など「貴重資料」に焦点を絞り、“語りの文体”と称される太宰文学の魅力がどのように生み出されたのか、その「創作の舞台裏」に迫る企画も楽しみだ。また、代表作『斜陽』『人間失格』のほか、近年初めてその存在が明らかになった注目の資料『お伽草紙』の完全原稿も必見。青春の挫折や苦悩から生まれた作品は、小説が単なる教養ではなく、“生きる支えとなる文学”であることを実感させてくれる。

『斜陽』『人間失格』などの作品から、暗く、厭世的な作品を書く作家というイメージ の強い太宰だが、人生の明るさ、美しさ、温かさ、家庭的な愛情にあふれる作品を書いた時代がある。本展では、『女生徒』『黄金風景』『満願』などの中期の作品(1938 年~45 年)に注目。健康的で生きる喜びにあふれており、鑑賞者はあらたな太宰作品との出会いとなるだろう。

なお、本展企画は、安藤宏氏(東京大学大学院人文社会系研究科教授)が編集し、日本近代文学館で開催された「生誕110年 太宰治 創作の舞台裏」(2019年)に、三鷹市の協力を得て、高志の国文学館のオリジナル展示を加えて再構成した。

本展開催期間中、県内高校生 5 名による白熱読書と、安藤宏氏による講演「太宰治と志賀直哉」など、さまざまな関連イベントを開催する。申込みなど、詳細はホームページにアクセスを。

●受講料無料、文学講座「大伴家持文学賞記念講座 郷土と文化」

富山県ゆかりの文学者や偉人について学習する文学講座「大伴家持文学賞記念講座 郷土と文化」を10月から実施中。第3回「古文書でたどる椎名道三の生涯と事績」が11月27日(土)、越中史壇会会員の宮本幸江氏を迎えて開催される。藩政期後半に生まれた椎名道三の生涯と活躍の実際を「出生から養家独立まで」「改作奉行の指示を受けて奔走する道三」「藩の方針転換と道三」の3期に分け、脇子八幡宮(朝日町)所蔵の古文書をもとに検証する。

第4回「映像の時代を切り開いた男 吉澤商店主・河浦謙一の足跡」が12月12日(日)、国立映画アーカイブ主任研究員の入江良郎氏を迎えて開催される。日活(日本活動写真株式会社)の前身となった、日本最古の映画会社を経営し、日本の映画産業の基礎を築いた富山出身の河浦謙一に焦点を当て、映像時代の幕開きと吉澤商店の活躍、そして知られざる河浦謙一の生涯をたどる。

受講申込みなど詳細は高志の国文学館のホームページにアクセスを。なお、9月25日に開催予定だった第1回「笑いとユーモアから見た川柳の魅力」(講師:富山国際大学現代社会学部・大谷孝行氏)は日程が決定次第、ホームページで案内する。

●芸文協、「とやまを描くエッセイ」募集!


▲機関誌『藝文とやま』

富山県芸術文化協会では、同協会創立50年、機関誌『藝文とやま』第50号(令和4年3月発刊予定)を記念し、全国の方々から「とやまを描くエッセイ(紀行文を含む)」を募集している。心に残る富山県の自然や文化を、エッセイや紀行文にまとめてみてはいかがだろうか。

「富山県芸術文化協会」(芸文協)とは、美術・音楽・芸能・文芸・生活文化の分野の35団体が加盟し、世代を超えてとやまと世界を結ぶ総合的文化芸術団体。各団体が連携し、ジャンルを超えた展覧会・舞台公演・国際交流・文芸誌発刊・広報普及などを通じ、芸術家と鑑賞者が参加し創作活動の輪を広げている。

選考は、1次選考委員が幅広い観点から入賞候補作を選定し、選者の本木克英氏(映画監督、富山市出身)、遠藤稔氏(『藝文とやま』編集委員長、文芸評論家)が選考する。なお、1次選考通過作品は、芸文協WEBページで2022年3月頃公開予定。

応募締切は2021年11月30日(火)。とやまの新しい魅力や価値を発見し、コロナ禍収束の際には、全国の方が富山の魅力にふれていただくことを期待する。賞金は、最優秀賞(1名)10万円、優秀賞(若干名)3万円。

原稿枚数は、400字詰原稿用紙またはワープロ・パソコン原稿(20字20行)換算で5枚から10枚程度。原稿には必ず作品名(ふりがな)、住所(郵便番号)、氏名(ふりがな)、生年月日、年齢、電話番号、職業、略歴を付記すること。富山県に居住したことのある方は市町村名、または出身地を明記。

 応募先は、〒930−0096 富山市舟橋北町7−1 富山県教育文化会館内 (一社)富山県芸術文化協会事務局「とやまを描くエッセイ」係。芸文協WEBページの応募フォームからも送ることができる。応募作品であることを封筒表紙またはe-mail標題に明記を。なお、郵送を原則とするが、e-mailでの場合(宛先info@pat.or.jp)は、1週間以内に芸文協から受理の連絡がある。

問合せ
「太宰 治 創作の舞台裏 展」「大伴家持文学賞記念講座 郷土と文化」について
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
https://www.koshibun.jp/

「とやまを描くエッセイ」について
●(一社)富山県芸術文化協会
TEL.076-441-8635(内線123)
http://www.pat.or.jp/


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