トピックス

アーカイブ

2017年 8月 23日 [ トピックス ]

No.820:大伴家持生誕1300年記念、「大伴家持文学賞」「高志の国詩歌賞」創設

 県は、2018年が大伴家持の生誕1300年にあたることを記念し、世界のすぐれた詩人の業績を顕彰する「大伴家持文学賞」、富山ゆかりの詩歌を対象とした「高志の国詩歌賞」を創設、募集を開始した。国内外の人々の心豊かな人生の創造に寄与することを目的とする。短歌、俳句、詩など優れた作品を持つ作者に期待を寄せている。

●家持、独創的な歌の境地を作り上げた越中時代


▲「大伴家持文学賞」と「高志の国詩歌賞」

 現存する日本最古の歌集『万葉集』の代表的な歌人の一人であり、その編纂に深く関わったとされる大伴家持(718~785)。746年、現在の富山県にあたる越中国に国守として赴任し、751年に帰京するまでの5年間を過ごした。立山、二上山、布勢水海、奈古の浦など、雄大で美しく、かつ厳しくもある越中の風土や四季折々の自然から、都とは異なる新鮮な感動を受けた家持は、職務をこなしながら、越中に関わる223首にのぼる優れた歌を詠んでいる。家持は『万葉集』に473首を残したとされており、その約半数が越中で詠まれたことになる。

 家持やその周辺の人々によって詠まれた歌に、土地に伝わる民謡を加えたものが「越中万葉」とよばれている。『万葉集』全20巻4516首のうち、巻16・17・18・19の中に、337首が残されており、富山で生まれた「ふるさと文学」の原点といえるものだ。

 富山県は、越中万葉をはじめ、県ゆかりの文学作品などの魅力を幅広く発信し、誰もが気軽に「ふるさと文学」に親しみ、学ぶことができるとともに、新たな創作の刺激ともなる場として、2012年に「高志の国 文学館」を開館した。

 大伴家持文学賞の創設の趣旨は、家持の歌や越中万葉の素晴らしさを世界に向けて発信するとともに、国内外の人々の心豊かな人生の創造に寄与すること。また、高志の国詩歌賞は県ゆかりの若手や富山を題材にした作品に光をあてるのがねらい。いずれの賞も2年に一度実施する予定だ。

●世界で優れた業績をあげた詩人を顕彰

 「大伴家持文学賞」は、世界的に優れた詩歌(さまざまな形式をこえて、韻律を持つ言語表現)の業績をあげた詩人を対象とする。国籍、居住地は問わない。各国文学の専門家、詩歌に関する有識者、詩歌実作者らからの推薦方式(他薦)。受賞者は1人で、賞状、メダルと賞金200万円(日本円)を贈る。

 所定の推薦書を2017年11月30日(木)(必着)までに郵送(〒930-0095 富山市舟橋南町2-22 高志の国 文学館 大伴家持文学賞事務局)。推薦書の様式は高志の国文学館のホームページからダウンロードできる。

 各国文学の研究者ら6名による選考委員により受賞者を決定。2018年6月(予定)に受賞者を発表し、7月の生誕記念式典で贈呈式や受賞者による記念講演を行う。

●富山ゆかりの作品、作者を対象に

 「高志の国詩歌賞」は、今後の活躍に期待する奨励賞で、下記の①~③を満たす作品の作者を対象とする。
① 2017年12月31日において、原則として40歳未満の作者による作品
② 2016年1月1日から2017年12月31日までに、新聞、雑誌(同人誌を含む)、単行本(自費出版を含む)で発表された詩歌(詩集、歌集、句集等)
③富山県ゆかりの方(在住の人、出身の人、ルーツを富山に持つ人、富山で活躍中の人など)による作品または富山県を題材として制作された作品

 詩歌に関する有識者、詩歌実作者らからの自薦または他薦による公募。受賞者は1人で、賞状、メダルと賞金20万円を贈る。所定の推薦書を2017年12月31日(日)(必着)までに郵送(〒930-0095 富山市舟橋南町2-22 高志の国 文学館 詩歌賞事務局)。推薦書の様式は高志の国文学館のホームページからダウンロードできる。

 県内外の歌人、俳人ら5名による選考委員により受賞者を決定。2018年6月(予定)に受賞者を発表し、7月の生誕記念式典で贈呈式を行う。

 高志の国 文学館では、「文学賞を通して家持の歌や越中万葉の素晴らしさを世界に向けて発信したいと思います。“家持”の名を冠した世界的な規模の文学賞の創設は初めて。世界で優れた業績をあげた詩人をぜひ推薦ください」と話している。


▲高志の国 文学館

 なお、現在高志の国文学館では、開館5周年記念展「おわらと林秋路-風の盆の画家」を開催中(9月25日(日)まで)。富山の初秋の風物詩であり、おわら節の情緒と優雅な踊りで全国的な人気を集めるおわら風の盆。その雰囲気を伝えるのに欠かせない、八尾町出身の林秋路が描くおわら風の盆の絵画や版画を多数展示している。あわせて、秋路と文学者や芸術家との交流のありようや、文学との関わりを明らかにすることで、<林秋路>の全体像を紹介する。9月1日(金)から始まるおわら風の盆にあわせて、地元出身作家の作品を鑑賞してみよう。

問合せ
●高志の国 文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/

コメント

その他のトピックス

ページの先頭へもどる↑