富山駅北の富岩運河環水公園と港町・岩瀬を結び「富岩水上ライン」が平成28年3月25日(金)、今シーズンの運航を開始する。桜の季節はお花見運河クルーズ＆お花見ナイトクルーズが楽しみ。宇奈月温泉に宿泊された方や、あいの風とやま鉄道のファンクラブ会員の方は乗船料金が1割引となるうれしいサービスもある。また、4月8日(金)～10日(日)開催の「第62回全日本チンドンコンクール」の話題も併せて紹介。心地よい春の風に誘われて、いざ富山へ。

●富岩水上ラインで運河クルーズを満喫

　水面を渡る爽やかな風、羽を休める水鳥たち、環水公園の緑……富山の新しい観光コースとして注目されている「富岩(ふがん)水上ライン」。平成28年は3月25日(金)から11月23日(水・祝)まで毎日運航(メンテナンスなどによる運休日は除く)。ソーラーパネルを装備したモダンなデザインの「fugan」、シップベルやゼンマイ式音声ガイドを装備した「sora」、小型の電気ボート「もみじ」といった電気を動力とするエコな船で運河クルーズの旅に繰り出そう。

　都心のオアシス「環水公園」から国指定重要文化財「中島閘門」、北前船で栄えた港町「岩瀬」まで、歴史と自然に恵まれた富岩運河を舞台にしたクルーズが、富山駅の徒歩圏内で楽しめるとあって、21年の就航以来、年々乗船者が増えてきている。特に北陸新幹線の開業や新艇「fugan」が導入された27年の乗船者は約51,000人と、26年の約2.4倍に増加した。また、乗船者の約7割が県外からの観光客であり、新たな観光スポットとして、全国的にも人気が急上昇だ。岩瀬便の乗船チケットには、LRT(次世代型路面電車)の富山ライトレールの乗車券もセットになっているため、往路は富岩水上ライン、復路はライトレールといった周遊の旅も楽しめ、乗り物ファンの親子連れなどにも大好評だ。

　運航コースは、Ａコース：環水公園→中島閘門(水のエレベーター)→岩瀬カナル会館(乗船時間約60分、大人1,500円)、Ｂコース: 岩瀬カナル会館→中島閘門(水のエレベーター)→環水公園(乗船時間約70分、大人1,500円)、Ｃコース: 環水公園→中島閘門(水のエレベーター＆操作室見学)→環水公園(乗船時間約70分、大人1,200円)の3つ。※ＡとＢはライトレール片道乗車券（「富山駅北」―「岩瀬浜」間約25分）付き

　クルーズの最大の見どころは、国指定重要文化財「中島閘門」(昭和9年竣工)で体験できる“水のエレベーター”。富岩運河の上流側と下流側の最大2.5ｍもの水位差を調節するパナマ運河式閘門で、日本最大級の水位差を体感できる。Ｃコースは、中島閘門操作室の見学もセットになっているので、建設当時そのままの大理石パネルの操作盤など、レトロな雰囲気を感じることができる。

●桜の季節、船上からお花見

　ソメイヨシノやコシノヒガンザクラ、ジュウガツザクラ…環水公園から中島閘門にかけては「富山さくらの名所70選」に選ばれた桜の景観が楽しめる。桜の花びらが舞う季節には、富岩水上ラインの船上から花見を楽しむことができる毎年恒例の特別周遊便（お花見運河クルーズ）もおすすめしたい。
　○「お花見運河クルーズ」4月2日(土)～8日(金)
　環水公園から中島閘門の手前で折り返すルート(水のエレベーター体験はなし)。1日7便(10:30～15:50)
　乗船時間：約40分。
　乗船料金：大人800円、子ども400円。当日乗船も可。
　問合せ：富岩船舶(株)TEL.076-482-4116

　また、夜桜をゆっくりと堪能したいなら、今回が初登場となる「お花見ナイトクルーズ」はいかがだろう。特製弁当を味わいながら、日中とは趣の異なる桜の景観を船上から堪能できる。
　○「お花見ナイトクルーズ」4月4日(月)～8日(金)
　環水公園から中島閘門を通過(水のエレベーター体験)し、住友運河付近で折り返すルート。1日1便(18:20発)
　乗船時間：約1時間30分。
　乗船料金：特製弁当と飲み物付きで3,000円(大人、子ども一律料金)。乗船日の3日前までに予約が必要。
　同社ナイトクルーズ予約専用回線：TEL.076-431-1501

　富岩水上ラインは、貸切運航もでき（飲食の持込み可）、町内会や同窓会などグループのレクリエーションでの利用や、岩瀬での会食などの際には、移動中も仲間で楽しめるナイトクルーズがおすすめ。すてきな思い出づくりに、ぜひ活用してほしい。

　乗船場のある環水公園は都心の新たなオアシス。園内には、2つの展望塔をもつ天門橋、 “世界一美しい”と称される「スターバックス」、フレンチの鉄人・坂井宏行シェフ監修のレストラン「ラ・シャンス」など大人気のスポットが集まる。江戸時代、北前船交易で栄華を極めた港町・岩瀬には、かつての廻船問屋の建物などが残っており、まち歩き、歴史散策も楽しめる。

　富岩水上ライン乗船後、環水公園や富山駅周辺の提携施設等で乗船チケットの半券を提示すると、買い物や飲食などが割引になるうれしいサービスもあるので、ぜひ利用してみよう。たとえば、ラ・シャンスでは「乾杯ドリンク1杯サービス」、とやま自遊館では「ドリンク1杯サービス」、オークスカナルパークホテルでは「宿泊通常料金を10％割引」など。富山駅新幹線高架下にある、きときと市場とやマルシェでもサービスを受けられる。

　県内最大の温泉郷、宇奈月温泉で宿泊すると、富岩水上ライン優待割引券(1割引)がもらえる。また、あいの風とやま鉄道が発行する往復乗車券、1日フリーきっぷ、ファンクラブ会員証を提示すると、乗船チケットが1割引で購入できるので、こちらも利用して県内各所の周遊観光を満喫しよう。

●富山の春の風物詩、チンドンも楽しんで！

　チンドンマンの軽妙な口上や、チンドン太鼓、クラリネット、アコーディオンの音色が風にのってこだまする……。富山に春を呼ぶ「第62回全日本チンドンコンクール」が4月8日(金)～10日(日)、富山市中心市街地で開催される。コンクール(会場：富山県民会館)には、全国からプロのチンドンマン30チーム(各チーム3人)が参加し、9日(土)の予選を勝ち抜いた上位8チームが10日(日)の本選に出場。日本一をかけ、パフォーマンスを繰り広げる。奇抜な衣装、ユーモア溢れる演技に拍手喝采のイベントだ。富山駅南口駅前広場、松川茶屋そば、グランドプラザには「まちなかステージ」が設置されるので、まち歩きしながらチンドンを楽しみたい。

　桜の季節、見どころもいっぱい。8日(金)夜の「幽玄チンドン夜桜流し」(前夜祭)では、チンドンマンが桜の名所・松川周辺(18:30～)や、繁華街の桜木町(20:30～)を練り歩く。松川べりのライトアップや、遊覧船に乗ったチンドンマンの演奏も楽しみだ。9日(土)10:00～の「オープニングセレモニー・開幕パレード」では、グランドプラザでの大合奏などのあと、総曲輪・中央通りを練り歩く。10日(日)14:30からは「チンドン大パレード」が平和通り→グランドプラザで繰り広げられる。雄大な立山連峰をバックに、ブラスバンドやプロ・アマチュアチンドンマンら総勢200名以上のパレードは圧巻。チンドンパフォーマンスが心をウキウキとさせてくれる。チンドンに誘われて、北陸新幹線で富山へ。陽気な音色に染まる春のひとときを。