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2015年 4月 30日 [ トピックス ]

No.705:映画「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」、5月9日(土)から富山県内先行上映

 世界の食糧危機を救う奇跡の小麦のもとになった「小麦農林10号」(NORIN TEN)を育種した農業研究家、稲塚権次郎(いなづか ごんじろう:富山県南砺市出身)。その生涯を描いた映画「NORIN TEN “農の神”と呼ばれた男 稲塚権次郎物語」が5月9日(土)から富山県内で先行上映、今秋から全国公開される。美しい田園風景が広がる南砺市、富山市を中心にロケが行われた。熱い男の人生と富山の空気感にぜひ触れてほしい。

●世界に大きな影響を与えた富山の偉人の生涯を描く


▲黄金色に実った小麦畑と
稲塚権次郎(仲代達矢)のロケシーン
©「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」製作委員会

 映画「NORIN TEN “農の神”と呼ばれた男 稲塚権次郎物語」(製作:「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」製作委員会、後援:富山県、南砺市)は、『世界の食糧危機を救った男 稲塚権次郎の生涯』(千田篤著)を基に調査を重ね、ドキュメンタリータッチを加味した作品。権次郎の遠縁にあたる稲塚秀孝さん(タキオンジャパン)が監督、脚本を手がけ、名優・仲代達矢さんが晩年の権次郎を演じた。ロケは、2014年6月、権次郎の故郷・南砺市で本格的にスタートし、富山市や茨城県、北海道、インドで行われた。南砺ロケには、大勢の市民がエキストラとして協力。大きな空と大地、地元の熱意が感じられる作品に仕上がった。


▲権次郎の母・こうを野焼きで送るシーン
©「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」製作委員会

 稲塚権次郎のプロフィールを紹介しよう。権次郎は1897年(明治30年)、東砺波郡能美村(現、南砺市城端)の貧しい農家に生まれた。県立福野農学校(現、県立南砺福野高校)で恩師からダーウィンの『種の起源』を勧められ、遺伝や品種改良に興味を持ち、東京帝国大学農学実科に進学し、育種学などを学ぶ。卒業後、秋田にあった農商務省農事試験場陸羽支場で水稲の新品種育成に従事し、「水稲農林1号」(のちのコシヒカリにつながる)の誕生を導いた。1935年(昭和10年)、岩手県農事試験場で「小麦農林10号」を育成。低背丈で倒れにくく、成長がはやいうえに収穫量の多いのが特徴だった。

 戦後、アメリカの生物学者、ノーマン・ボーローグ博士が、「小麦農林10号」とメキシコ品種を交配させて新品種を開発した。病気に強く、収量が多いため、海外で広く栽培され、インドやパキスタンなど多くの国の食糧不足を救ったことから「緑の革命」と称えられた。育成者であるボーローグ博士はこの功績で、1970年(昭和45年)にノーベル平和賞を受賞。権次郎とボーローグ博士は1981年(昭和56年)に開催された日本育種学会で初対面を果たし、博士は権次郎の功績を称えた。

 映画では、生真面目で苦学しながら勉学の道に進んだ後、情熱を持って小麦の研究に向き合う、権次郎のひたむきな姿や、多くの人に愛された晩年が描かれている。功績はもちろん、仕事への情熱、妻への愛、友情、戦争など、普遍的なテーマが感じられる。

 監督の稲塚秀孝さんは、記録映画「二重被爆」、「フクシマ2011~被爆に晒された人々の記録」、「仲代達矢“役者”を生きる」などの監督・プロデューサーとして知られる。キャストは、仲代達矢さんのほか、若き日の権次郎に松崎謙二さん、妻・イトに野村真美さん、母・こうに藤田弓子さん、親友・羽田武に益岡徹さん、現代の若き育種家に舞川あいくさんなど、ベテランから若手まで名優が揃う。

 映画は5月9日(土)からTOHOシネマズファボーレ富山、富山シアター大都会、TOHOシネマズ高岡で県内先行上映、9月19日(土)から全国で公開予定。

●ロケ地マップを見ながら散策、富山の魅力を発見


▲五箇山・相倉合掌造り集落で撮影中の稲塚組
©「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」製作委員会

 「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」のストーリーやロケ地マップ、監督、キャストのコメントなどを掲載した映画パンフレット(ブランケット判、4ページ)も映画公開に合わせて制作された(発行:北日本新聞社、協力:富山県)。ロケ地マップには、妻・イトが筝(こと)を演奏するシーンなどの撮影場所となった浮田家(富山市)、日本育種学会会場となる富山電気ビルデイング(富山市)、権次郎が富山県ほ場整備課を訪ねるシーンに登場する富山県庁(富山市)、明治36年に旧富山県立農学校として建てられた県立南砺福野高校・巌浄閣(南砺市)、青年時代の権次郎が農作業に精を出すシーンの撮影場所となった南砺市井口地区、権次郎とイトの祝言のシーンの撮影場所となった五箇山合掌の里・竹中家(南砺市)などが紹介されている。このほか、小麦農林10号を使用した地ビールやパンなどの商品、特産品、権次郎の生まれた南砺市城端の見どころ・食べどころなどをピックアップしたコーナーもある。

 仲代達矢さんの「山を借景に田畑が広がっている城端の風景には感動しました。家の周りが木で囲まれている散居村の眺めも印象的でしたね」、稲塚監督の「映画“稲塚権次郎物語”を支える会ができ、多くの皆さんと取り組むこととなった。映画に出演し、映画製作を支えることを一緒にできた皆さんには、感謝に堪えない」などのコメントも紹介されている。

 映画パンフレットは、上映館や、東京・有楽町のいきいき富山館などで配布予定。マップを片手に富山発見の旅に出かけてみたい。

 撮影に協力した富山県ロケーションオフィス(富山県観光課)では、「富山には輝かしい業績を残してきた先人が大勢います。稲塚権次郎さんもその一人です。県では、ふるさと教育として、これまで小学生や高校生向けの教材を作成し、権次郎さんの夢や情熱、志を紹介してきました。この映画を観ることで、自分の夢や目標にチャレンジすることにつなげてほしい。稲塚監督は県内の農業系高校をめぐり、権次郎さんの偉業や映画を紹介する活動をスタートさせました。県内外の方にも権次郎さんの存在を知ってほしいですね。ロケ地マップを持って各地をめぐってみませんか」と話している。

問い合わせ
●富山県ロケーションオフィス(富山県観光・地域振興局観光課内)
TEL.076-444-6789
FAX.076-444-4404
http://www.location-toyama.jp/

●映画「NORIN TEN~稲塚権次郎物語」公式ホームページ
http://www.norinten.net/

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