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2012年 11月 21日 [ トピックス ]
No.582-2:東京駅の赤レンガ駅舎に富山の技術
趣のある赤レンガにビクトリア調のドーム、白色の窓サッシ――。約5年の保存・復原工事を終え、10月1日に全面開業したJR東京駅丸の内駅舎。富山県高岡市の三協立山(株)・三協アルミ社が建具工事を担当。特注で製造した窓サッシ「東京駅専用ビル用サッシ」が建物の全数にあたる450窓に採用され、富山の高度な技術が歴史的建造物の復原に貢献した。
●歴史的建造物の復原に貢献
趣のある赤レンガにビクトリア調のドーム、白色の窓サッシ――。約5年の保存・復原工事を終え、10月1日に全面開業したJR東京駅丸の内駅舎。富山県高岡市の三協立山(株)・三協アルミ社が建具工事を担当。特注で製造した窓サッシ「東京駅専用ビル用サッシ」が建物の全数にあたる450窓(両開窓324窓、上げ下げ窓126窓)に採用され、富山の高度な技術が歴史的建造物の復原に貢献した。
日本・東京の玄関口である「東京駅」は大正3年(1914)に創建された。明治建築界の第一人者、辰野金吾氏が設計し、赤レンガの斬新な西洋風デザインとして注目を集めた。大正12年(1923)の関東大震災では被害を免れたが、第2次世界大戦の空襲で南北のドームや屋根、内装など3階部分を焼失し、戦後、2階建てで再建。平成15年(2003)に国の重要文化財に指定され、平成19年(2007)5月から復原工事が始まった。
復原工事は、“駅舎の姿を創建当時の姿に戻すこと”、“重要文化財としての価値を損なわず、修復すること”、“今後100年先まで活用する施設となること”を基本方針に掲げ、隣接する「東京ステーションホテル」、「東京ステーションギャラリー」とともに進められた。駅舎を解体して建て直すのではなく、外壁など主要部分を可能な限り保存・活用し、創建時の姿に復原することや、戦災時に焼失した屋根と3階の外壁の復原、南北ドーム・見上げ部分の復原、免震構造の採用などが大きなポイントだった。
●“木の風合い”に近づけるため、試行錯誤
国の重要文化財でもある駅舎を保存・活用して創建時の姿に甦らせるという一大プロジェクト。三協アルミ社では、工事の基本方針に沿うように創建当時の資料などを基に復原作業を行った。
大正時代には木製建具が主流だったが、戦後の再建でスチール製建具に改修されていた。同社では、木製建具を再現するため、過去の文献も参考にしながら現在の技術の粋を結集し、新しく60種の型を起こして専用アルミサッシを開発した。フッ素樹脂塗装を施した表面を創建当時の“木の風合い”に近づけるため、辰野金吾氏が設計した現存する岩手銀行を視察するなど、試行錯誤を重ねた。このほか、窓を装飾するアルミ製鋳物も製作した。窓は二重サッシで、防音性、気密性などが格段にアップ。東京ステーションホテルの線路側の客室では、その効果がより実感できるという。
三協立山(株)では、「文化的遺産である歴史的建造物の復原に携われたことは大変名誉なこと。窓サッシについては、高い性能と、全数検査など高い品質管理が求められた。これから100年を経ても技術の素晴らしさを伝えられるよう、営業、生産部門が連携して事業に取り組み、大きな成果を上げることができた」と話している。
問い合わせ
窓サッシ「東京駅専用ビル用サッシ」について
●三協立山(株)広報・IR部
TEL.0766-20-2332
FAX.0766-20-2032
http://www.st-grp.co.jp/