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1999年 11月 29日 [ トピックス ]
No.051-1:「日本の棚田百選」に選ばれた田んぼで、米づくり名人になる
■「日本の棚田百選」に富山県から2つの地区が選定
山間の緩やかな傾斜地に階段状に広がる棚田。そんなふるさとをイメージする原風景といえる棚田の魅力を再発見すると同時に、国土保全や生態系を維持する役割を理解し、生産者を励ますことを目的として、農水省は全国134地区の棚田を「日本の棚田百選」に認定。富山県内からは、氷見市長坂と八尾町三乗の2地区の棚田が選定された。
石川県境に近い氷見市長坂の棚田は標高200メートルに位置しており、富山湾越しの立山連峰は、まさに絶景。一方、八尾町三乗の棚田は24戸で構成する三乗営農組合が水稲栽培を行っており、休耕田を利用して無農薬野菜を作るなど、棚田の維持保全に努めている。また、この地はホタルの生息地としても知られ、シーズン中には観察に訪れるファンも多い。
■棚田のオーナーになって田植えや稲刈りを体験!
棚田---それは米づくりだけでなく、生態系の維持、景観の美しさ、治水・保水のうえでも古くから大切な役割を果たしてきた。しかし、過疎化、高齢化が進み後継者不足による耕作放棄が増えるなど、時代の変化と共に棚田はどんどん少なくなっているのが現状だ。
そんな中、氷見市長坂地区では、「日本の棚田百選」に認定された記念すべき年に、「棚田オーナー事業」をスタートしており、大きな話題をよんだ。春には県内外のオーナー会員44組が地元農家の皆さんと一緒に田植えを体験。刈り取りまでは農家がしっかりと管理してくれる。その間、田んぼの様子やお米の情報、氷見でのイベント情報なども定期的に発信。遠く離れていても、自分の田んぼの様子がわかるという仕組みだ。
■棚田の魅力、棚田でつくる米のうまさを全国に発信
9月下旬には初めての稲刈りが行われ、会員44組のうち24組65名が参加。誰もが初めてという稲刈り体験だったが、地元農家の皆さんに教わりながら、鎌での刈り取り作業や“はさがけ”作業に汗を流した。特に、機械乾燥をせずに天日でじっくりと干すはさがけ作業も、近年はめっきりと減っていることから、県内の参加者からも「貴重な体験ができた」と大好評。毎日味わっているお米が手間暇かけて育てられていることを教えようと、親子連れで参加する人も大変多かったようだ。
はさがけで乾燥した米は、玄米40kgと氷見の農業特産品をあわせて会員に届けられるシステムになっている。
オーナー会員との交流で地区を活性化し、地元農家の農業への意欲を高めようとスタートした「棚田オーナー事業」。「子供に農業を体験させたい」「おいしいお米を食べてみたい」など、動機はさまざまだったが、評判は上々。さらには「作業時以外にでも地区を訪れてみたい」「会員相互のコミュニケーションを広げよう」といった動きも出てきている。事業は来年度の継続も決定しており、既に数組が申し込んでいるそうだ。棚田でつくるおいしい氷見米は、参加者に多くの喜びを実らせている。
問い合わせ
●氷見市経済部農政課
0766-74-8086