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1999年 3月 26日 [ イベント ]
No.036-2:典雅な祭り囃子を奏でながら、華麗な御車山が巡行する
■国内の山車の中でも屈指の華やかさ
5月1日、富山県高岡市・関野神社の春季例大祭に「高岡御車山(みくるまやま)祭」(国重要有形民俗文化財、国重要無形民俗文化財指定)が行われる。午前11時、金工、漆工など高岡の伝統工芸の粋を結集させた7基の御車山が坂下町に勢揃いした後、午後6時の関野神社での曳き別れまで、町中を列をなしてゆっくりと巡行。美しい絵巻物を観るような雅な祭りが繰り広げられる。
一台の御車山には、各山町から総勢約50人が付き従う。各山ごとに鈴棒持ちが先頭を歩き、続いて一文字笠に麻裃(かみしも)を身につけた山役員が御車山の前後左右を守る。そして、法被姿(はっぴ)も勇ましい男衆が高さ8.4メートル、長さ5.9メートルの御車山を曳き廻す。お神楽を思わせるような趣のある囃子、車輪と車軸の「ギュッ、ギュッ」という摩擦音など、御車山から奏でられる典雅な音も耳に心地よい。
見どころは、正午から行われる片原町交差点付近での勢揃い。7基の御車山が一直線に並ぶシーンは圧巻だ。また、午後6時30分に守山町通りにある富山銀行本店前にふたたび勢揃いし、午後8時までライトアップされる。大正浪漫を感じさせる赤レンガ造りの銀行をバックに展示される御車山は、日中とはまた違った趣があり、幻想的な雰囲気を醸し出す。
■高岡の発展とともに受け継がれてきた御車山
御車山は、天正16年(1588)豊臣秀吉が後陽成天皇と正親町(おおぎまち)上皇を聚楽第(じゅらくだい)にお迎えしたときに使用したものだ。加賀藩初代藩主前田利家が秀吉からこれを拝領した後、二代藩主前田利長が京都祇園祭りにならって鉾山に改造し、高岡の町民に与え、城下を曳き廻らせたことが御車山祭の始まりと伝えられている。 以来、高岡町民の心意気と財力に支えられ、また高岡職人の工芸技術の粋を傾けて補修され、加賀藩領内随一の町として栄えた高岡の歴史を反映する祭りとして今日に継承されている。
■優美な飾り金具と鉾留
御車山の意匠として、車輪や高欄、長押に施された金工、漆工、染織などの優れた装飾が注目される。特に、黒の漆塗りに、龍や菊、桐、剣梅鉢を形どった精緻な金具で飾られた車輪と車軸は必見だ。
また、御車山の一番上につけられた、鉾留(ほこどめ)と呼ばれる飾りもユニーク。通町の御車山には鳥兜、御馬出町(おんまだしまち)は胡簗と弓矢、守山町は五鈷鈴、木舟町は胡蝶、小馬出町(こんまだしまち)は太鼓に鶏、一番街通は釣鐘、二番町は桐をそれぞれ飾り、その下から赤や白、黄色の花笠が広がる。鉾留は安土桃山時代の工芸意匠を伝えるものとされ、陽光を浴びて進むさまは美しく、見る者の気持ちをいにしえの時代に誘うようだ。
問い合わせ
●高岡市観光物産課
TEL 0766-20-1301