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2019年 8月 7日 [ イベント ]

No.919:心打つ詩との出会い。新たな文学体験!「谷川俊太郎の宇宙」へ

高志の国文学館(富山市舟橋南町)で企画展「谷川俊太郎の宇宙」を開催中<2019年9月23日(月・祝)まで>。詩人・谷川俊太郎氏の作品と人生を紹介する。関連イベントとして、8月12日(月・振)、「みみをすます~詩の朗読と歌で綴るコンサート~」が県教育文化会館で開催される。谷川俊太郎氏自らが詩を朗読。聞き手を詩の世界へと導くコンサートとなる。チケット販売中!

●『二十億光年の孤独』の詩の印象を空間として表現

 1952年に詩集『二十億光年の孤独』でデビューして以来、幅広い読者に支持され、日本のみならず海外でも高く評価されている詩人・谷川俊太郎氏。「鉄腕アトム」の主題歌、教科書に掲載された「生きる」など、谷川氏の詩は書き言葉としてだけでなく、耳で聴いたり、体で感じたりして楽しむことができる詩の魅力に気づかせてくれる。

 企画展では、谷川氏の詩の魅力を、宇宙と日常という二つの視点から紹介。宇宙的な視点から日常を見つめて描いた個々の人間の存在の孤独と、詩人の目が捉えた日常を、詩のことばを中心に、写真や絵本、朗読の音声を交えて紹介している。冒頭、年譜や『写真』(詩・写真:谷川俊太郎)に収載された写真と詩52点がずらりと並ぶ。谷川氏は「作者である私は東京にいるのに、書いた詩は知らない間に富山まで旅して、あなたがたと交流しているのですねー」と企画展に言葉を寄せている。


▲「谷川俊太郎の宇宙」へ(左)
▲「詩の宇宙」(中央)
▲絵本『生きる』の原画などを展示(右)


▲『写真』に収載された写真と
詩のパネルが並ぶ

 今回の企画展は、パネルで紹介した詩を入場者が声に出して読んだり、詩集を手に取ったりできるなど、参加できることが大きな特徴だ。「詩の宇宙」のコーナーは、天井からランタンが下がり、壁に地球と月の画像、床に月面のクレーター写真を配置したユニークな空間。クレーターに詩の世界が広がっている。壁にライトを当てると、詩の文字が浮かび上がる仕掛けも楽しい。「人類は小さな球の上で眠り 起きそして働き ときどき火星に仲間を欲しがったりする―」。コーナー内では『二十億光年の孤独』の詩が日本語、中国語、英語で朗読される。月に人類が到達していなかった時代、宇宙に想いを馳せ、人類の孤独を文字にした谷川氏の視点が素晴らしい。日本語による朗読は谷川俊太郎氏、中国語と英語は富山大学に在籍する、それぞれの言語を母語とする学生が担当した。

 「詩の仕事」では、『二十億光年の孤独』所載の序詩、三好達治の生原稿と写真、室生犀星からの詩集『六十二のソネット』への礼状、三島由紀夫からの詩集『愛について』への礼状など、貴重な書簡や原稿などが展示されている。

 「ひとりひとりの“生きる”」では、絵本『生きる』(詩:谷川俊太郎、絵:岡本よしろう)の原画などを展示。普段の暮らしの中で身近に接する死、新しく生まれる命など、日常のひとコマひとコマが詩と繊細な絵で描かれている。「生きているということ いま生きているということ」「それはのどがかわくということ 木漏れ陽がまぶしいということ」「あなたと手をつなぐこと」などの詩が心に沁みる。

●15編を選んで「わたしの谷川俊太郎詩集」に


▲20編の詩などを展示

 企画展「谷川俊太郎の宇宙」の鑑賞の記念にしたいのが、「わたしの谷川俊太郎詩集」。20編の詩を20色の紙にのせた詩のリーフの中から好きな詩を15編選んで自分だけの谷川俊太郎詩集として持ち帰ることができる。編集者の目線で15編を選ぶことの楽しさや難しさを味わえる機会となるだろう。グラフィックデザインは富山県立富山北部高校情報デザイン科2年生が担当。オリジナルフォルダ付きで500円(税込み)。会場では、高校生が詩に向き合って描いた作品も鑑賞できる。

 企画展「谷川俊太郎の宇宙」関連イベントとして、8月12日(月・振)<開場13:00、開演14:00>、「みみをすます~詩の朗読と歌で綴るコンサート~」が県教育文化会館で開催される。谷川俊太郎氏と歌、演奏を担当するDiVaが出演し、谷川氏自身が詩を朗読する。DiVaは、現代詩を歌うバンドで、谷川俊太郎氏の子、賢作氏がピアノを担当している。谷川俊太郎氏の作品を中心とした、現代詩に新しい息吹を与える個性的な楽曲は1995年の結成当初から注目を集めている。入場料は一般前売2,000円、当日2,500円。チケットは、アーツナビ、もしくは高志の国文学館(友の会会員チケットのみ)で購入できる。

 高志の国文学館では、「企画展示室では、詩を声に出して読んだり、感想を話し合ったりできます。耳で聴き、手に触れ、体で感じる詩の世界を楽しんでください。また、谷川さんに宛てて、富山の魅力をひとことで手紙にし、館内に備え付けのポストに投函ください<8月12日(月・振)まで>。会期中に谷川さんが手紙のことばから新しく詩をつくります」と話している。


問合せ
●高志の国文学館
TEL.076-431-5492
FAX.076-431-5490
http://www.koshibun.jp/


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