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2008年 2月 20日 [ トピックス ]
No.340-1:海洋深層水を活用しマダラをふ化! 調査放流へ
北陸の冬の味覚を代表する「マダラ」。富山県水産試験場では採卵や種苗(稚魚)生産を行い周年飼育し、卵から親魚まで一生を飼育下で完結させることに成功してきた。今年度は3月末までに、合計10,000尾の1歳魚を調査用に富山湾に放つ標識放流も実施する。
●旬のマダラを飼育
北陸の冬の味覚を代表する「マダラ」。富山県水産試験場では採卵や種苗(稚魚)生産を行い周年飼育し、卵から親魚まで一生を飼育下で完結させることに成功してきた。今年度は3月末までに、合計10,000尾の1歳魚を調査用に富山湾に放つ標識放流も実施する。
マダラはタラ目タラ科に所属する冷水性の底生性魚類で、太平洋の北部から日本海、黄海にかけて分布し、日本海側では山口県、太平洋側では茨城県が生息の南限とされている。富山湾では水深200〜400m付近に生息。冬の味覚として人気が高く、煮た真子を刺し身にまぶしたタラの子付けや、昆布〆、煮付けなどにして賞味されている。
富山県内のタラの漁獲量は昭和62年では127tあったが、平成9年には4tまで減少し、近年では10〜20tで推移している。県水産試験場は、平成7年度からマダラの種苗放流による資源の維持・増大を図ることを目的に、低温安定性、富栄養性、清浄性の特徴をもつ富山湾海洋深層水を利用しての親魚(富山湾で漁獲されたマダラ)の飼育、12年度からは種苗生産技術の開発に取り組んでいる。14年には同試験場で親魚から採卵して得た仔魚(しぎょ:発育のために腹に卵黄を抱えたふ化直後の魚)を親まで育て、その親魚から再び卵を採って仔魚を育てる、いわゆる完全養殖に世界で初めて成功。現在、安定した種苗生産と技術の完成に向けて、研究が進行中だ。
●標識放流で成長具合を調べる
マダラの産卵の盛期を迎え、県水産試験場の水槽では現在、卵からふ化したばかりのマダラの仔魚が元気に泳いでいる。全長約4mmで、80日ほど経つと全長約30mmの稚魚に成長する。種苗生産を効率的に行うためには、卵の管理方法や飼育水温、餌、仔魚の収容密度に配慮しなければならない。県水産試験場では、仔魚を表層水と深層水を混合し、水温約10℃に調整した水の中で飼育して、シオミズツボワムシやアルテミア幼生などの動物性プランクトンを与えている。15,000尾/KL以下の収容密度が飼育に適していることもこれまでの研究で明らかになったという。
平成14年度から全長20〜25cmに成長した1歳魚に標識を付けて放つ放流を行っていることも特筆すべき点だ。今年度はまず先月23日(水)に氷見市沖で実施しており、今月中には黒部市沖、来月に滑川市沖でも放流する。漁業者の協力を得て、移動距離や成長具合、漁獲実態などを調べながら、本格的な放流事業へとつなげていく計画だ。なお、標識を付けたマダラが漁獲され始めており、いつ、どこで、どの位の大きさで漁獲されたか、データ収集も始まっている。
県水産試験場栽培・深層水課では、「採卵や種苗生産はかなり順調に行えるようになってきた。しかし、生残率にばらつきがあり、安定して種苗生産できるように、飼育技術を磨いていく必要がある。研究・調査によって漁業資源を増やしていきたい」と話している。
問い合わせ
●富山県水産試験場栽培・深層水課
TEL.076-475-0036
FAX.076-475-8116
http://www.pref.toyama.jp/branches/1690/1690.htm