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2007年 4月 4日 [ トピックス ]

No.294-2:「近世高岡の文化遺産群」−−世界文化遺産登録へ今秋再提出


 富山県と高岡市では、「近世高岡の文化遺産群」として、国宝瑞龍寺、国重要文化財の勝興寺、県指定史跡の高岡城跡、前田利長墓所などの世界文化遺産への登録を目指している。県と市が昨年11月に文化庁に提出した文化遺産群は今年1月に継続審査となり、今後文化遺産群の内容について追加資産の検討などの作業を経て、今秋再提出される予定である。

▲国宝瑞龍寺

●遺産群の価値を高める資産の掘り起こしを進める

 富山県と高岡市は、「近世高岡の文化遺産群」として、国宝瑞龍寺、国重要文化財の勝興寺、県指定史跡の高岡城跡、前田利長墓所などの世界文化遺産への登録を目指している。県と市が昨年11月に文化庁に提出した文化遺産群は今年1月に継続審査となり、今後文化遺産群の内容について追加資産の検討などの作業を経て、今秋再提出される予定である。

 高岡の歴史は、慶長14年(1609)、加賀藩二代藩主前田利長が城を築いたことに始まる。5年後、利長は没し、高岡城は廃城となり、家臣は金沢へ移るが、三代藩主利常は高岡の再興のために、町人の他所移住を禁じ、城下町から商工業の町へと転換を図っている。この都市政策の変化は、高岡の文化遺産を考える上で大きな特徴となるものである。

 近世高岡の文化遺産群の核となる国宝瑞龍寺は、利長の菩提を弔うために利常が20年の歳月を費やして建立。総門、山門、仏殿、法堂が一直線に、回廊が左右対称に整然と配置されており、禅宗様式の典型的な伽藍配置を見せる。その瑞龍寺と八丁道で結ばれた前田利長墓所は、大名個人の墓としては国内最大級の規模を誇り、国史跡の指定に向けて調査が進められている。戦国時代、越中一向一揆の拠点となった浄土真宗の寺院・勝興寺は城郭寺院の風格を漂わせており、堂舎群と殿舎群に大別される伽藍に真宗大寺院の典型的な特徴が見られる。高岡城跡は美しい水濠や土塁が原型のままに残された広大な城跡公園。築城当時の遺構が残されており、近世初頭の城郭遺構を考えるうえで価値が高いと評価されている。
  
 県と市では、今年度、建築や城郭、町並みなどの専門家による調査研究委員会を設けて、遺産群に追加する文化遺産の検討に入るが、瑞龍寺と利長墓所をつなぐ八丁道、瑞龍寺に残る前田利家・利長親子らの石廟群をはじめ、商家などの土蔵が点在し国の重要伝統的建造物群保存地区になっている山町筋や金屋町の歴史的町並みなどを追加候補として検討し、文化遺産群としての価値を高める考えだ。

 市文化財課には、今年度から世界文化遺産担当者が配置され、再申請に向けて準備が進められる。また市では、瑞龍寺、勝興寺、高岡城跡、前田利長墓所の4カ所や追加候補の山町筋などをめぐるコミュニティーバスの運行を検討しており、市内外からの観光客に名所をアピールし、世界文化遺産登録への機運を盛り上げる。

 なお、富山県では、「近世高岡の文化遺産群」とともに、新たに「立山・黒部地域」の世界文化遺産登録に向けた取り組みもスタートしている。今年1月に県庁内に調査研究プロジェクトチームが発足し、立山信仰や砂防ダム、黒部峡谷の電源開発など、周辺エリアの文化資産の洗い出しが進められている。6月頃には一般を対象にしたセミナーなども開催される予定だ。

●絢爛豪華な時代絵巻、高岡御車山祭へ出掛けよう

 高岡市の話題をもう1つ紹介しよう。5月1日(火)、高岡御車山祭が行われる。薫風に誘われて、祭に実際に出掛けてみるのも高岡の文化を知るきっかけになるだろう。高岡御車山は、加賀藩初代藩主前田利家が豊臣秀吉より拝領し、二代藩主前田利長が高岡城築城にあたって町民に与えたもの。京都祇園の祭礼にならって鉾山に改造され、高岡関野神社の祭礼日に神輿とともに城下を曳き廻らせたのが祭の始まりと伝えられている。町を巡行する7基の御車山は御所車形式に鉾を立てた特殊なもので、高岡の金工、漆工、染織などの優れた工芸技術の装飾が車輪や高欄などに施されている。最頂部に飾られた鉾留は木舟町が胡蝶、小馬出町が太鼓に鶏というように各山町によって異なるのが特徴。鉾留は神が降臨するための目印とされている。

 今年は、宵祭の4月30日(月・休)に、高さ8mを超える御車山を納める臨時山倉が木舟町の山町筋観光案内所、守山町の富山銀行本店駐車場、御馬出町のNTT西日本高岡市外ビル駐車場に設置されることが話題だ。御車山は雨が大敵で、雨天には祭当日の市内巡行が中止されることもある。雨天になった場合でも御車山を見たいという声が多いことから、今年初めて臨時山倉が設置されることになった。臨時山倉では、山車組み立ての実演や曳き方衣装の記念撮影などのほか、18:00〜21:00には雨天時でも3基の御車山のライトアップ(4月30日のみ)が行われる。また、7つの山町では山車の部材・調度品の展示や囃し方試楽(演奏)、スタンプラリーなども実施されるので楽しんでみたい。



問い合わせ
<「近世高岡の文化遺産群」について>
●高岡市教育委員会・文化財課
TEL.0766-20-1453
FAX.0766-20-1667
http://www.city.takaoka.toyama.jp/kyouiku/2069/

<「高岡御車山祭」について>
● 高岡市商業観光課
TEL.0766-20-1301
FAX.0766-20-1496
http://www.city.takaoka.toyama.jp/sangyo/0402/kankou/

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