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1997年 9月 22日 [ トピックス ]

No.010-1:情熱的な花色、チューリップ新品種「恋茜(こいあかね)」誕生


 濃赤色の花びらが、まるで夕日に照り映えるかのように咲くチューリップ。その名も「恋茜(こいあかね)」。富山県農業技術センター野菜花き試験場において、昭和49年より育成してきたチューリップの新品種が、去る8月19日付けで農林登録され、デビューすることとなった。
 同試験場は、公的機関としては日本で唯一、チューリップの品種改良に取り組んでおり、これまでも新品種を数々開発してきた。「白雪姫」「黄小町」など、優良な品種として、国のお墨付きともいえる農林登録を果たしたものも多く、この「恋茜」が農林登録21番目となる。
 「恋茜」は、鮮明な花色・覆輪(花びらが単色でないこと)・強い茎葉といった特徴を持った品種を目指して、昭和49年に育成に着手。草丈が高く姿の良い「平和」を種子親に、オランダより導入した濃赤色に黄色の覆輪が美しい。
 一般的にチューリップの品種改良には長い年月がかかる。花をつける球根を得るまでに5〜6年を要し、以後10年以上、球根増殖をしながら収量性、病害抵抗性などの点から選抜を繰り返す。その間は“捨てるのが仕事”といわれるほどで、新品種が誕生する確率は、3〜5万分の1という低さ。さらに農林登録については、富山県以外の試験場(北海道・新潟県・埼玉県・鳥取県・福岡県)で、3年間にわたる継続栽培を経て初めて判定されるのである。
 こうして「恋茜」も、育成着手から23年を経てこのほど発表されるに至った。品種改良は必ずしも目標どおりにはできあがらないものだが、「恋茜」は当初のねらいどおりの鮮やかな花色になったと担当者は目を細めている。実際に市場にお目見えするのは数年先になるが、促成栽培での出荷は2〜3月が適しており、バレンタインデーや卒業シーズンの花束用に、ぜひ注目してほしい情熱的なチューリップである。

問い合わせ
●富山県農業技術センター野菜花き試験場
〒939-13 砺波市五郎丸288
TEL 0763-32-2259

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