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1997年 7月 1日 [ イベント ]
No.006-3:海外の前衛的な舞台芸術が共演する世界演劇祭。
富山県利賀村では、8月1日から8月9日まで世界演劇祭「利賀フェスティバル'97」が開催される。これは1982年から毎年実施されているもので、利賀村に活動拠点をおく劇団SCOT(旧早稲田小劇場)をはじめ、海外の劇団が公演する予定。
同フェスティバルは、世界の前衛的な芸術集団が参加する演劇祭として知られており、今回も数々のアーティストが競演する。なかでも注目されるのが、世界的に評価の高い地元劇団SCOTの『マクベス』。1991年に初演され大きな反響を呼んだ作品だが、今回改訂版を発表することが決まっており、早くも演劇ファンの間で話題を呼んでいる。また利賀で世界初演となるアナトリー・ヴァシリエフ・カンパニ−(ロシア)の『ゲーム』も楽しみな作品だ。今回は世界6ヵ国(7演目)から参加し、現代演劇を中心に、音楽、ダンスなど、多彩な舞台芸術が繰り広げられる。
また公演は、利賀村にある富山県利賀芸術公園の劇場群を使って開催される。昔ながらの合掌民家を改造した劇場「利賀山房」のほか、世界的な建築家・磯崎新氏が設計したギリシア風「野外劇場」や「利賀スタジオ」などが舞台となる。これらのユニークな劇場群も、同フェスティバルの魅力の一つになっている。
また、演劇や音楽ファンだけに限らず、夏の利賀村は観光にも最適なシーズン。緑と清流に囲まれた富山県利賀芸術公園は、小鳥のさえずりをききながら散策したり、バードウオッチングを楽しんだりすることができる。この機会に訪れてみたいものである。
* 問い合わせ
●財団法人国際舞台芸術研究所
〒930 利賀村上百瀬
TEL 0763-68-2216(7月6日までは03-3951-4843へ)
《上演演目》
■SCOT
□『マクベス』(演出:鈴木忠志)
1991年初演で大きな反響を呼んだ演目で、今回は鈴木忠志氏によって5年ぶりに改訂版を発表する。
□『世界の果てからこんにちは』(演出:鈴木忠志)
利賀の大自然の中で繰り広げられる野外劇。壮大な仕掛け花火とともに池踊り、山歌う痛快な真夏の夜のスペクタクル。
■オウト・ダ・フェ
□『クラップの最後のテープ』(演出:レック・マキエヴィッツ)
人間の孤立した状態を巧みに描くポーランドのマキエヴィッツ。彼は不条理劇のサミュエル・ベケットの世界を追求する演出家として知られ、利賀ではそのベケットの作品を手がける。
■ファトゥミ・ラムルー・カンパニー
□『ユザイス』(振付:エラ・ファトゥミ、エリック・ラムルー)
パリ市ダンスコンクール入賞など数々の賞に輝く。今回は1990年バニョレ国際振付賞を受けた『ユザイス』をたずさえて参加。眩惑されるような感覚によって昂進する身体的世界を追求する。
■ソチエタス・ラファエロ・サンツィオ
□『オフィーリア』(演出:ロメオ・カステルッチ)
イタリアの演出家カステルッチは、かつて一人の観客として利賀フェスティバルに訪れ、利賀村の美しい自然に感動。その利賀の自然からイメージを得てつくった作品。シェークスピアの『ハムレット』を下敷きに、幻想と狂気の世界を描く。
■デイヴィッド・モス
□『モス・テイルズ』(演奏:ディヴィッド・モス)
打楽器と声のソロコンサート。強烈なドラム演奏と挑発的な歌詞、それに電子機器によるライブ。アメリカの奏者で、『モス・テイルズ』はニューヨーク・タイムズ紙に「我々が聴いたことのある音楽の主流の中心から最も遠くを行く楽しい音楽」と評された。
■アナトリー・ヴァシリエフ・カンパニー
□『ゲーム』(演出:アナトリー・ヴァシリエフ)
アナトリー・ヴァシリエフは、ヨーロッパ各地のフェスティバルに参加して数々の賞を獲得しているロシアの演出家。『ゲーム』は古代ギリシアの詩人ホメロスの長編叙事詩『イリアス』をもとにした彼の野心作。野外劇場で行われる。