移転や新築で住み手がなくなった合掌造り家屋を村の文化資源として保存するとともに、観光スポットとして利用していこうという活動の一つ。現在、合掌の里にある10棟の合掌造りは、すべてこうして移築されたもので、コテージや宿泊所として利用されており、五箇山ならではの暮らしが体験できるとあって人気を集めている。
合掌造りの屋根は、数年に一回、茅を葺（ふ）き直さなくてはならず、維持管理に大変な労力を要する。かつては、村には“結（ゆい）の制度”があり、村の人々は互いの家の茅葺きを手伝いあったという。しかし、昭和40年頃より、その維持管理の難しさや住宅事情の変化から、合掌造り家屋は徐々に減っていく。失われていく文化を守ろうと、上平村は合掌の里への移築・改修を開始。平成7年には、平村の相倉集落とともに、菅沼集落が世界遺産として登録された。「山々に囲まれた雪深い五箇山は、暮らしそのものが文化だった。昔の人の生活の知恵を忘れないためにも、合掌造りをしっかりと後世に残していきたい」と合掌の里支配人の古瀬さん。現在、移築・改修中の2棟は、まもなく完成し、４月からの春の観光シーズンにあわせてオープンする予定。

問い合わせ
●上平村合掌の里
住所　東砺波郡上平村菅沼字仕明855
TEL　0763-67-3300