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2001年 3月 30日 [ トピックス ]
No.074-1:花粉を飛ばさないスギ発見花粉を飛ばさないスギ発見!花粉症王国・日本に明るい光
新しい出会いや、進学、進級。春は気持ちも体もリフレッシュする心地よい季節。それなのに、ユウウツ〜という人も多い。理由は何といっても花粉症。3月中旬から4月中旬にかけては、一年でスギ花粉が一番多く飛ぶ時期。スギ花粉だけが原因とは言い切れないものの、この時期に鼻水やくしゃみが止まらなくなる花粉症を患う人は年々増加し、今では国民の4人に1人が悩まされているともいわれている。そんななか、富山県林業試験場では、春先になっても花粉を飛ばさないスギを全国に先駆けて発見し、その特性の解明と実用化に取り組んでいる。
1992年に富山市内で偶然発見されたというこの無花粉スギ。外見は他のスギとほとんど変わらない。花粉をつける雄花も、見た目は普通のスギと同じ。しかし、雄花の中を顕微鏡で覗くと大きな違いがわかる。花粉はつくられる途中で壊れ、最後には全くなくなってしまう。研究の結果、この現象は環境的な要因によるものでなく、突然変異であることが判明。また、劣勢遺伝ながら交配によって無花粉スギの増殖が可能であることがわかった。現在、農林水産省に品種登録の申請をする準備をすすめており、数年後には林業用の苗木を供給できる見込みだ。
「50年後、100年後を考えて、今から対策を講じることが大切です。無花粉スギが実用化されるまではしばらく時間がかかりますが、林業に無花粉スギが利用されていけば、将来的には花粉の飛散量は減っていくでしょう」と林業試験場の斎藤真己さん。今後の課題は、成長や材質などが優れた性質を持つ品種と交配を行ない、風土に合った優良な無花粉スギを作り出すこと。同試験場では、交配して作った数百本の苗木を育てており、これらのスギがこの先どういった成長を示していくかを見守っている。
花粉症に悩まされる人にとって、暗闇に光が射すような嬉しいニュース。でも、実際に植え替えが進んで効果を発揮するまでには、数十年、あるいはもっと長い時間が必要になりそう。試験場のこれからの研究成果に期待しよう。
問い合わせ
●富山県林業技術センター林業試験場
〒930-1362
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