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2001年 10月 5日 [ トピックス ]
No.080-2:手作りロケット実験プロジェクトで電離層の位 置解明へ
●衛星通 信や長波・中波通信を安定して運用するための基礎研究
富山県立大学工学部電磁波工学研究室の助手・石坂圭吾さん(29)と、同研究室の修士課程2年・西尾知浩さん(24)が、大気圏上空にある電離層の位 置と電子密度分布を調べるための電波受信機をこのほど完成させた。同研究室は米国・アラスカ大学フェアバンク校主催のロケットプロジェクトに参加しており、来年3月にアラスカ大学の射場から打ち上げられるロケットに電波受信機を搭載し、電離層の位 置解明に取り組む。
電離層とは、太陽からの紫外線やx線によって、大気の原子や分子が電子とイオンに分離している層。電波を反射させる性質を持っており、このことによって長距離無線電信が可能となっている。電離層の正確な位 置と電子密度分布を調べることは基礎研究のひとつで、今後利用の増大が予想される衛星通信や、地上における長波・中波通信を安定して運用するためにも必要とされる。 これまで他の研究機関によって、超高層大気圏や約90・以上の高度での電子密度測定は行われてきたが、今回のロケットプロジェクトでは、高度約90・までロケットを到達させ、電離層下部領域での電子密度分布を調査する。また、ロケット先端部に取り付けられたループアンテナによって地上と電離層との間の電波伝搬特性なども観測する。
●重力試験・振動試験・温度試験などをクリア
この電波受信機が搭載されるのは 「ディオニシス」と名付けられたロケット。全長約10メートルで、エンジンの提供などNASAの協力を得ながらアラスカ大学が製作を進めている。ロケット内の限られたスペースに収めるためにサイズを工夫したり、インターネットで何度となく海外から電子部品を取り寄せたりと、装置の製作には苦労が多かった。県立大学工学部電磁波工学研究室の岡田敏美教授の指導を受けながら約1年半をかけて、電波受信機は完成した。257kHz 、660kHz 、 820kHz の3周波のデータを収集することができる。電離層では3周波とも急激に弱まるため、リアルアイムで電波を受信し、データを収集することで電離層の位 置が明らかになるという仕組みだ。
8月下旬に、アラスカ・フェアバンク市で、ロケット搭載のために必要な試験が行われたが、地上電波受信試験、重力試験・振動試験・温度試験などを無事に終えることができた。このあと各種テストや調整を繰り返し、来年3月の打ち上げ本番を迎える。
問い合わせ
●富山県立大学工学部電磁波工学研究室
TEL(0766)56-7500